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  • 特集・未来の建設現場(1)~ICT・ロボット技術の展開/i-ConでUAVに新需要/アイデアは現場から生まれる

     国土交通省は、人手不足や長期的な労働人口減少を踏まえて、i-Constructionを展開している。ICTや機械化技術の開発が幅広い分野で進む中、本特集では生産性向上へと導くICTツールや機械化技術を取り上げることで、未来の建設現場の姿を展望する。切り札として期待されるUAV(無人航空機)の導入、実用化に当たっての展望と課題を日本UAS産業振興協議会の鈴木真二理事長にインタビューするとともに、丹羽克彦国土交通省総合政策局公共事業企画調整課長にインフラ整備・維持管理におけるICT・ロボット技術の展開を聞いた。あわせて、注目の最新技術を紹介する。【日本UAS産業振興協議会理事長 鈴木真二氏に聞く】

     

     i-Construction推進に向けた施策の1つであるICT活用工事において、UAVは既に欠かせない存在となった。測量分野だけではなくインフラ分野や建築分野での活用に向けた機体の開発など日進月歩の勢いで進む。その効果を発揮する上で、不測の事態に対して事故を防ぐだけの技量を持ったパイロットの養成や、技術発展と安全な運用の両立が不可欠となっている。日本におけるUAV産業の健全な発展と振興を目的に活動している日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長に、建設現場においてUAVがもたらす可能性について聞いた。

     

    --UAVの歴史と普及した背景は

    「UAVは、機体にジャイロや加速度計などセンサーが組み込まれ、ヘリコプターと同じように常に操縦者の操作が必要な機械だが、ラジコンなどと比べ誰でも簡単に操作できる。また、スマートフォンや携帯に使われているリチウムイオンバッテリーが2000年代から普及し始め、バッテリーが軽量・高機能化したことで、機体性能も飛躍的に伸びた」

     

    「10年にフランスのパロット社が『AR・Drone』を発売し、数年後には、中国のDJI社のUAVが出現した。比較的安価で購入できるため、誰もが手軽にUAVで撮影するカルチャーが生まれたことも、急速に広まったことの要因として考えられる」

     

    ■安全運航へ証明書交付

    「日本でも利用者の増加に伴い、安全教育の必要性が高まった。このような状況から、JUIDAは14年7月に発足し、ことしで4周年を迎えた。主に、操縦技能証明と安全運航管理者証明の交付、講習機関の認定などに取り組んでいる。現在、認定校は全国で150校、会員は5000人を超え、UAV業界の発展とともに急成長してきた」

     

    --UAV導入により期待できる効果について

    「建設業でのi-Conの推進により、UAVの新しい需要が生まれたといえる。例えば、建設現場を上空から撮影することで、俯瞰(ふかん)的な視点から現場を管理できる。特に測量では、工事前に周囲の状況を短時間で調査するのに効果を発揮している」

     

    ■維持管理での活用にも期待

    「UAVを使った資材の管理や運搬など、 アイデア次第で新しいことはできる。 また、建物の維持管理においても活用が検討されている。建物の近くは空気力学的に不安定な挙動を起こしやすく、 目視点検やサンプリングなど、すべての作業をUAVで行うのは難しいのだが、これらの課題が解決できれば、 工期短縮、コスト削減を実現するなど画期的なものとなる」

     

    --運用に当たっての課題は

    「飛行中の落下事故発生に際して、第3者の安全確保が求められている。15年4月に起きた首相官邸への落下事件を契機に、規制を強化する流れとなった。国は、15年9月に『航空法の一部を改正する法律』を公布し、UAVを『小型無人航空機』という特別なカテゴリーにあてはめ、安全に対する基本的なルールを定めた」

     

    ■飛行許可申請電子化始まる

    「建設現場は、飛行禁止区域や禁止された飛行方法に該当しなければ飛行可能だが、それ以外は、飛行許可申請が必要になる。申請手続きに関しては、ことし4月から電子申請も始まり審査がスムーズに進むようになった。ただ、手軽に飛ばせるようになれば、それだけ事故発生の可能性が増す。そのため規制強化されたのだが、航空法が改正されたことで、産業界にとっては運用面で法律的な根拠が生まれたといえる」

     

    --普及へ建設業界にメッセージを

    「新技術は利用者のニーズがないと浸透していかない。UAVの新しい運用方法などアイデアは、現場から生まれてくるのではないか。現状では実現が難しくても、今後の技術開発や制度整備に結びつく。JUIDAとしてもユーザーとともに模索していきたい」

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    掲載日: 2018年8月28日 | presented by 建設通信新聞

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