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特集・未来の建設現場(2)~生産性2割向上へ最先端工場に現場変革/ICT機器活用に向け環境整備/ICT土工は3割の時短効果を実現
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【生産性2割向上へ最先端工場に現場変革/ICT機器活用に向け環境整備/ICT土工は3割の時短効果を実現/国土交通省総合政策局公共事業企画調整課長 丹羽克彦氏に聞く】
国土交通省は、2016年に生産性革命プロジェクトを開始し、3年目となる本年を「深化の年」と位置付け、総力を挙げて生産性の向上に取り組んでいます。i-Constructionは、生産性革命プロジェクトの重要な施策の1つとして測量から設計、施工、検査、維持管理・更新に至るすべての建設生産プロセスにICTなどの活用を推進するものであり、これにより25年度までに建設現場の生産性を2割向上させることを目指しています。
総合政策局公共事業企画調整課は、省内の関係課と連携しながらi-Conの主な施策の1つ「ICTの全面的な活用」を進めています。初年度からi-Conのトップランナー施策となるICT土工の導入に取り組みました。
■生産性向上へICT施工をフル 展開
UAV(無人航空機)などによる3次元測量、3次元測量データによる設計・施工計画の作成、3次元設計を活用したICT建設機械による施工、そして検査の省力化といったように、測量から検査までを通してICTをフル活用したICT土工を積極的に展開しています。17年度は国の発注工事における土工の約4割(815件)にICT施工を実施し、約3割の施工時間の短縮効果を確認しました。
18年度は、施工者希望型I型の工事規模の下限を引き下げ、II型の加点対象工種を拡大するなど意欲ある建設会社のICT活用を後押ししています。積算基準も適宜見直しており、ICT建機の使用割合や日当たりの施工量などの実態調査結果を踏まえ、ICT建機の稼働実態に応じた積算・精算を可能にするなどICT施工を利用しやすくしました。
ICT舗装工とICT浚渫工を17年度に加え、18年度はICT河川浚渫工へと拡大しました。さらに一般的な道路工事、築堤護岸工事で施工されるすべての工種にICTが活用できることを目標に、ICT地盤改良工やICT法面工などの工種拡大の準備も進めています。工事を受注する建設会社がICT機器を効率的に活用でき、ICTの効果を享受できる環境整備を進めてまいります。
■地方への波及を促す
ICTの全面活用は、一品受注・労働集約型生産だった建設現場の概念を変え、ICTやIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)の導入により自動化、規格化された最先端の工場へと建設業態を大きく変化させています。このため、地方公共団体発注工事にも広くi-Conの導入を促し、全国の中小建設企業がこの大きな変化に対応できるよう効果を体現してもらい、全国津々浦々の現場が速やかに生産性向上を図る必要があります。
そのため、地方公共団体が発注する工事をフィールドに、「現場支援型モデル事業」と称して、ICT導入の効果を建設企業に体験してもらう取り組みを進めています。
具体的には、地域の建設業が「ICT施工はなんだか苦手だな、きっかけがつかめないな」と感じる垣根を取り払えるようICT施工専門家を現地に派遣し、ICTを活用した施工計画・立案・マネジメントの指導を行い、ICT施工の効果の検証や周知を図っています。ICT導入講習会も併せて実施しています。
今年度も全国10カ所の現場支援型モデル事業を予定しています。各地域でICT施工のメリットを普及していただける伝道師のような方を育成したいと考えています。また工事監督者となる地方公共団体職員の方々にも、ICT施工と監督、検査への理解を深める実施体験、講習会などを併せて開催しています。
一方、ICT施工には測量や出来形計測のためのUAVやレーザースキャナー、施工のためのマシンコントロール(MC)建設機械、各種ソフトなど初期投資が必要です。これらの設備が広く普及することで価格が低廉化し、さらなる普及につながるとの考えから、機器取得や専門的知識・技能の取得のための教育に係る補助金、税制優遇など金銭面の支援についても周知に努めています。
■AIなど新技術を活用
一方、インフラの老朽化を受け、橋梁、トンネルを始め主要な各構造物には5年に1度の目視点検や打音点検を義務化しています。膨大な量のインフラ点検に係る作業人員の確保、人が入れない狭あいな構造物内の点検、スラブや高橋脚など作業の安全に係る負担が大きい点検などでは人の作業の支援としてUAVや高性能カメラ、レーダーなど技術進展がめざましいIoTやロボット等の開発・現場実装が進みつつあります。
点検作業の記録や診断への支援ではAIの活用が進みつつあり、ロボットが撮影した高精細な画像と土木技術者による正しい判断をデータセット(教師データ)として整備し、AIに機械学習させることによって、インフラの変状や損傷などの自動判別を支援する取り組みを進めているところです。
これらの施策を進めるにあたり、特に人材育成や積算基準・経費の考え方、補助金による機器導入支援などについては、建設現場の状況、建設業者の現況などを業団体と密に情報交換していきます。
【経産省がIT導入費の2分1助成/手続き簡略、活用しやすい制度/採択数は建設業最多】
経済産業省は、建設業を含む中小企業・小規模事業者におけるITツールの導入を促すため、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」(IT導入補助金)を実施している。補助対象はソフトウェア、クラウド利用費、導入に関連する経費などで、50万円を上限に導入費の2分の1を補助する(下限は15万円)。ITベンダーが担うIT導入支援事業者が代理申請や導入後のフォローアップを行うことで、交付申請に伴う申請者の煩雑な手続きを解消し、制度を活用しやすくしたのが特徴だ。
事業費として2017年度補正予算で500億円を確保した。サービスデザイン推進協議会が事務局を担当し、オンライン上ですべての申請手続きを行う。紙の手続きをなくすことで事務処理を円滑化した。2次募集まで終了しており、今後3次募集の交付申請手続きを開始する予定だ。
補助対象事業者は業種・組織形態別に定められ、建設業は資本金3億円以下、従業員(常勤)300人以下が対象となる。1次公募の業種別採択数は、i-ConstructionによりICT導入を急速に進めている建設業が最も多く、1586件が採択されている。
申請者は事前にホームページの経営診断ツールで自社の経営状況などを分析し、経営改善や生産性向上に必要なITツールを把握する。その上でホームページの検索機能(ITツール選定ナビ)を活用し、IT導入支援事業者(4000社以上)が扱うITツールから自社に適したツールを選定し、支援事業者にコンタクトをとる。その後、支援事業者と事前の商談を行った上で、支援事業者が作成する申請マイページに今後5年間の事業計画情報などを入力し、支援事業者が事務局に代理申請する。
採択後は、導入したITツールを着実に経営改革につなげるため、支援事業者が補助事業者のフォローアップを行うとともに、生産性向上の成果を年に1度、5年にわたり事務局に報告することを義務付ける。ITツールや提供ベンダーを評価し、ホームページで実績を一般公開することで結果にコミットする体制を敷いた。優秀事例も公開していく。
【展示会のニーズを実感/スペースメディアジャパン 管埜寛之社長】
国内最大の民生用ドローン展示会「Japan Drone(ジャパンドローン)」。2016年の初開催から年々規模が拡大し、3回目となったことしは出展者、来場者数が過去最大となった。事務局を務めるスペースメディアジャパンの管埜寛之社長は「可能性に満ちた業界」と強調する。
同社は主に、展示会の企画立案や出展営業活動をはじめ、イベント関連業務を手掛けている。
管埜氏はUAV業界参入のきっかけを「新規市場の開拓の一環だった」と振り返る。14年の夏ごろから情報収集を始めた。日本UAS産業振興協議会(JUIDA)など、関係者と話を重ねていく中で展示会のニーズの存在を実感したという。
展示会の開催に向けては、まず会場を確保してから「UAV産業の発展に資する」をキーワードに主催、セミナー(コンファレンス)、展示会の内容を詰めた。また「展示会の定期的な開催こそが市場拡大につながる」とした上で「業界内に支援者が見つかるかどうかが、展示会の大きなポイントになる」と指摘する。
足掛け2年の準備期間を経て、16年3月に開催した第1回では、客層のデータが存在せず、まさに手探りでのスタートだった。その後、過去3回の開催を踏まえ、アンケート結果などからBtoBを目的とする出展者、来場者が多いことが分かった。
4回目となる「Japan Drone2019」は、平日開催に変更するなどビジネス目的とする参加者のニーズに対応する。
展示会としては「まだまだ3合目」であり「大手企業が参入すればイベントとして華々しくなる。出展対象者を限定せず、さまざまな企業を取り込んでいきたい」と見据える。
今後について「これからも、時代の流れを先取りしたイベントを提案していく。防災やインフラ点検など各分野での出展も増えてきたからこそ、UAVに特化した『ジャパンドローン』が業界発展に果たす役割は大きい」と語る。
残り50%掲載日: 2018年8月28日 | presented by 建設通信新聞