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  • 道路老朽化対策に本腰/年度内に点検要領見直し/自治体の技術・財政支援拡充/国交省・19年度予算概算要求

     国土交通省は、2019年度予算概算要求で道路の老朽化対策の本格実施を打ち出した。14年度から開始した橋梁とトンネルの定期点検が18年度で一巡することを踏まえ、点検の重点化や効率化に向けて、年度内に点検要領を見直す。あわせて、地方への国による技術的・財政的支援の充実や新技術導入に向けた試行を実施。道路の老朽化対策として、昨年度の要望額の2倍超となる468億円を要望した。予算、体制、技術面で課題のある地方自治体に対して、支援の強化を図る。 点検要領見直しの背景にあるのは点検による負担増加だ。12年12月の笹子トンネル天井板落下事故を受けて、すべての橋梁とトンネル、道路付属物について5年に1度、目視で点検することが義務付けられた。17年度までの4年間の点検実施状況は、橋梁が80%、トンネルが71%、道路付属物等が75%と着実に進捗してきた。

     

     一方で、自治体からは点検の継続を不安視する声が上がっている。国交省が全国の地方自治体に対して行った公共施設の維持管理に関するアンケートでは約3割が今後の点検継続は難しいと回答。点検・診断について、予算の不足や頻度・内容面での負担などから、計画どおりに続けることが困難であるという課題が浮き彫りになった。診断が十分にできているのかといった質の面での不安や実施方法の明確化を求めていることもわかった。

     

     点検要領の見直しの焦点となるのは手法や頻度だ。点検の確実性という意味で目視という手法が定められているが、この5年間でICTやAI(人工知能)を活用した技術が次々と開発され、環境は大きく変わった。負担軽減という観点から、点検個所のスクリーニング技術や点検結果をまとめる際の支援技術など活用の場面は多岐にわたる。

     

     国交省では、NETIS(新技術情報提供システム)によりトンネルの点検記録作成を支援する技術などの性能を確認。本格導入に向け、NETISで性能確認した技術について、18年度から定期点検の現場で試行していく。

     

     頻度についても、安全性を確保する上で、5年に1度と定められたが、すべての施設に対して一律期間で点検を行うことによる非効率性が課題となっている。建設されてからの期間、地理的な条件、交通量など施設・個所ごとの重要度や必要性にあわせた柔軟な点検期間の設定が求められている。

     

     ことし3月の社会資本メンテナンス戦略小委員会で委員長を務める家田仁政策研究大学院大教授は「メンテナンスでは平均値だけをみていてはいけない。ケースに応じた点検・調査を進めなければならない」と指摘しており、各施設の状態の把握が肝要となる。

     

     また、点検以上にネックとなっているのは補修や修繕だ。国交省が28日に公表した『道路メンテナンス年報(第4弾)』によると、次回点検までに措置を講ずべき(判定区分III、IV)と判断された橋梁の修繕着手割合は地方自治体管理で10%程度となっている。橋梁管理に携わる土木技術者が存在しない町は全体の約3割、村は6割にのぼるなど技術者不足に苦慮している自治体が多く、十分に対応できていない現状だ。

     

     国交省では、緊急かつ高度な技術力を要する施設については直轄で診断し、結果に応じて修繕代行事業により支援を実施。道路施設の的確な老朽化対策に向け、点検結果や利用状況を踏まえた道路施設の集約・再編も含めた補助事業・交付金事業による支援も行う。

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    掲載日: 2018年8月30日 | presented by 建設通信新聞

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