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  • ダム再生を深化/19年度概算要求に新規3件採択/制度拡充も要請/国交省

     相次ぐ水災害に対応するため、国土交通省はダム再開発などのダム再生に力を入れる。2018年度は3件のダム再開発が新規着手され、約20年ぶりに直轄ダムの実施事業数が下げ止まった。19年度も新たに3件の新規採択を要望するとともに、既存施設を有効に活用するための制度拡充も求める。下流側から順次実施する河川改修や新規のダム建設に比べ、早期に効果を発現できるというメリットを生かし、水災害の被害低減に役立てる。 直轄ダム事業の実施事業数の推移をみると、1990年代半ばの400件余りをピークに下降を続けてきた。完成するダムに加え、公共事業費削減の動きから中止となる事業が増加。新規採択は数年に1、2件にとどまり、旧民主党の政権交代以降5年間は新規採択が皆無だった。

     

     風向きが変わったのは17年度だった。国交省が既設ダムの有効活用を推進する『ダム再生ビジョン』を策定し、直轄と水資源機構の全国123ダムについて再開発の事業化に向けた調査を開始した。18年度には北海道開発局の雨竜川ダム再生事業(北海道幌加内町)、中部地方整備局の矢作ダム再生事業(愛知県豊田市、岐阜県恵那市)、水資源機構の早明浦ダム再生事業(高知県本山町、土佐町)の3件が新規に着手された。

     

     さらに同省は、19年度予算概算要求に東北地方整備局の北上川上流ダム再生事業(盛岡市)と関東地方整備局の藤原・奈良俣再編ダム再生事業(群馬県みなかみ町)、九州地方整備局の岩瀬ダム再生事業(宮崎県小林市、都城市)に関する実施計画調査の費用を盛り込んだ。制度面でも、ダム建設合理化や利水容量の暫定的活用のための堰堤維持事業の拡充を要求している。

     

     ダム建設の合理化に向けた堰堤維持事業の拡充では、再開発を念頭に林道などの洪水時に利用が想定されない施設について、水没による被害を補償することで付け替え・移設を不要とする。付け替え・移設にかかる時間を短縮し、再開発の迅速化に役立てる。

     

     利水容量の暫定的活用に向けた堰堤維持事業の拡充では、ダムの利水容量を洪水調節に活用するための経費を新たに堰堤維持費の対象に追加する。現状では大雨が予想されるなどの状況に限り、利水容量も活用した洪水調節が行われている。新制度では、暫定的な利水容量の利用を可能として、その管理費を堰堤維持費で手当てする。

     

     直轄ダムだけでなく、地方自治体の補助ダムでも再開発の動きが広がっている。国交省が昨年、新たに創設したダム再生計画策定事業を活用した地方自治体の計画の策定が進んでいる。18年度は北海道の佐幌ダム、群馬県の霧積ダム、坂本ダム、道平川ダム、塩沢ダム、長野県の裾花ダム、奥裾花ダムの合計7ダムに計画策定にかかる費用が交付されている。

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    掲載日: 2018年9月10日 | presented by 建設通信新聞

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