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現場から・三井住友建設九州支店「鹿児島港湾合同庁舎新築工事」
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【若手・女性が生き生きと働く現場/桜島の火山灰対策が重要】
担い手の確保・育成が叫ばれる中でも建設産業の仕事に誇りを持って生き生きと働く多くの若者がいる。国土交通省九州地方整備局が鹿児島市で建設を進めている鹿児島港湾合同庁舎新築工事に携わる九州整備局鹿児島営繕事務所技術課の菅原麻未調査・保全係長、建築工事を担当する三井住友建設九州支店の大下恭平係員は、現場から多くのことを学び成長を続けている。 鹿児島港湾合同庁舎は、既存施設の老朽化や耐震性能不足から、国道10号沿いの鹿児島市浜町に移転する。現在は8階建ての4階部分までコンクリート打設が完了し、5階のスラブ配筋を行っている。
入省5年目の菅原係長は、主任監督員の下で施工図の確認作業や入居する7官署との調整を担当している。「現場に足を運んで勉強したい」と品質管理の要所で各工程の検査に立ち会っており、「設計意図の反映で細かい部分を調整する難しさ」を実感している。
2件目の現場となる大下係員は入社3年目で、鉄筋やコンクリート工事の管理を担当している。「是正個所などがあれば携帯しているタブレット端末を職人さんに見せて仕様を納得してもらう」一方、不明な点は所長・副所長を始めとする「上司に相談できる環境も整っている」と話す。
同工事は、海を隔てて桜島を一望する立地のため、火山灰対策が重要になる。菅原係長は「灰が積もらないよう外観に突起がないなどの設計意図が反映されているか、設計事務所と調整しながら確認している」と話す。兵庫県出身の大下係員も噴火は初めての体験でとまどっていたが、現在は「風向きや降灰予報を確かめて清掃のタイミングを見計らい日程調整を行っている」という。
仕事のやりがいについて、菅原係長は「設計図で見ていたものが現実の建物になることに感動を覚える。苦労はたくさんあるが、完成した姿を見ると頑張って良かったと思う」と話す。一方で、「建物は完成後、長く使われる。だからこそ丁寧に造らないといけない」と気を引き締める。大下係員は、「現場には多くの人が関わっている。みんなが協力して目標が達成されることに喜びを感じる」という。
入省の動機を菅原係長は、「まちづくりを勉強しているうちに公共事業に興味を持った。地元での就職も考えたが、先導的な計画に携わりたいと思った」と話す。入省して「事務処理の仕事が大半と思っていたが、建設会社や設計事務所との打ち合わせもあり、建設業と向き合う職場」であることをを実感した。大下係員は、「多くの人が長く利用する建築物を造る最前線に携わりたい」と思い、ゼネコンに進路を絞った。
作業所職員の中で最も若い大下係員は、建設現場の高齢化を肌で感じている。「夏は暑く冬は寒いイメージが厳しい仕事と見られるのだろう。現場監督や職人の方々が実際に現場でどのような仕事をしているのか認識されていないことも一因」と若者に敬遠される理由を指摘する。
一方、菅原係長は現場に女性が増えたことを実感している。「快適トイレや女子更衣室が完備されるなど働きやすい環境が整いつつある」と建設業界の取り組みを評価し、「女性でも抵抗なく現場に行けることを情報発信していきたい」と目を輝かせる。
2019年3月末の完成に向け、これから工事は最盛期を迎える。それぞれの立場で乗り越え、技術者としてさらに成長することが期待される。
◆工事概要
▽件名=鹿児島港湾合同庁舎(28)建設工事
▽建設地=鹿児島市浜町1-14
▽規模=RC造8階建て延べ5172㎡
▽発注者=国土交通省九州地方整備局
▽設計=九州地方整備局営繕部、梓設計
▽監理=九州地方整備局鹿児島営繕事務所、益田設計事務所
▽施工=三井住友建設(建築)、栗原工業(電気)、大成温調(機械)、日本オーチス・エレベータ(エレベーター)
残り50%掲載日: 2018年9月14日 | presented by 建設通信新聞