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話題の技術/前田道路「マイルドベース」/地震時の液状化を抑制
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>◇首都圏以外でも展開へ
6日未明に起こった北海道胆振東部地震では、札幌市の清田区や北区、東区などで液状化や道路陥没などの被害が発生した。道路舗装各社が復旧工事などの対応に全力を注ぐ。地震が発生するたびに問題となっている地盤の液状化問題で、前田道路は被害の軽減が期待できるセメント・アスファルト乳剤安定処理路盤材(CAE)「マイルドベース」の提案活動を強化している。
3種類の路盤を使った液状化実験
マイルドベースは剛性とたわみ性を兼ね備える。地震時の揺れをたわみで吸収してひび割れを抑制。上層を舗装すれば液状化で水が噴出することを防ぐ。首都圏を中心に施工実績を伸ばしており、7月時点で累計20万平方メートルを突破した。
マイルドベースは路盤発生材、アスファルトコンクリート発生材、セメントコンクリート発生材などから製造された再生骨材などを混合した材料に、たわみ性を持つアスファルト乳剤と剛性を持つセメントを加えた。一般的にCAEは現地でセメントとアスファルト乳剤を混合して施工するが、マイルドベースは工場で混合作業を行う。現地作業が省略できる上、混合効率が良い高品質な製品を安定供給できる点も特徴だ。
現地で混合する工法の場合、施工時に大がかりな専用車両を使うため交通規制が必要となる。工場生産のマイルドベースは交通規制が不要。交通量が多い都心部の道路から専用車両が入れない狭い駐車場まで、さまざまな舗装に対応できる。
千葉、神奈川の両県にCAE専用プラントがあり、2~3時間で車両搬送できるエリアなら舗装が可能だ。このほかに移動式の混合装置も持つが、おおむね1年以内により高機能な移動式プラントを整備する考え。北海道での地震で液状化対策への関心が再び高まっていることを踏まえ、首都圏以外の地方で工事に対応できるよう体制の強化を図る。
CAEの液状化抑制機能は土槽を使った振動実験で検証済みだ。85センチの地盤層の上にCAE路盤材、一般的な舗装の粒状路盤材、セメント安定処理路盤材の3種類の路盤をそれぞれ15センチ舗装した土槽を振動実験台に載せ、震度5強~6弱程度の揺れを再現し、地震発生時の路盤の状態を比較した。
実験では、粒状路盤材は液状化して水が噴出。セメント安定処理路盤材は液状化はしなかったものの、固いコンクリートが揺れを吸収できずひび割れが発生した。CAE路盤材ではひび割れも液状化もなく、地震時の水位上昇に耐力があることを確認した。
同社の守安弘周製品技術本部製品技術部長は、札幌市内の各地で液状化の被害が出たことについて「非常に残念なことであり、被災された方が一日も早く平穏な生活に戻れることを祈っている」と話した上で、「マイルドベースなら地震時の液状化に対して有効だと考える。災害時に最低限の生活の基盤を確保するためにも、多くの地域で導入してほしい」と話している。
残り50%掲載日: 2018年9月19日 | presented by 日刊建設工業新聞