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連載・挑戦!情報化施工i-Construction(91)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>国土交通省が、地方における現場の生産性向上を目指しi-Constructionの普及展開を行う「i-Construction普及展開に関する支援業務」。前回に続き、支援業務を通して得られた好事例を紹介する。【成果・知見は着実に蓄積/各地で工期短縮に大きな効果/好事例4件を紹介(2)】
◆茨城県/モデル工事D街区
好事例の2例目は、茨城県モデル工事D街区。つくば市下河原崎の宅地造成現場で、従来建機とICT建機を組み合わせて施工した。施工数量は掘削が1万7000m3、路体盛土3万7000㎥で、法面整形の切土部が1500㎡、盛土部が6500㎡の規模だ。
支援事項は、3次元設計データの作成、ICT活用工事に対応した数量算出や数量変更方法、現場条件に適したICT活用の提案などだ。特に3次元設計データの作成は、一般的には平面・縦断・横断で作成するが、宅地造成という性格上、線形に沿わない構造物のデータ設計が必要だった。
データ作成時の留意点として、切土部と盛土部の変化点について、単純に座標点を結んでしまうとラインの交点に座標点が作成されないため、新たに交点に座標点を作成する必要がある。
また標高の変化点についても、宅地の高さが段状に変化する変化点ごとに座標点を作成しないと、標高が連続した坂になってしまうことなどを施工者にアドバイスした。
建機施工の部分では、宅地造成は法長が短い設計が多いため、コストが高いICT建機の整形面を丁張代わりに利用した。宅盤ごとに、ICT建機が数m間隔で整形し、その間を従来建機が引き継ぐ。
こうした施工法を採用したことで、施工スピードが向上した。ただこの施工法では、オペレーターの技術力や簡単な丁張りは必要なことがわかった。現場で活用する際には、法面切りだし部分に水糸を張り、切り出し位置や方向が分かるように施工を行って、精度向上と施工時間の短縮を図った。
◆秋田県/地方道路交付金工事(改築)
秋田県のモデル工事、「平成29年度地方道路交付金工事(改築)」は、秋田市下浜羽川の道路土工で、数量は掘削1万3000㎥、法面整形2100㎡の現場だ。起工測量と出来形管理に地上型レーザースキャナー(TLS)を使用し、3次元マシンコントロール(3DMC)バックホウを導入した。
現場の特徴として、全体の法面が曲面になっており、従来型施工では整形作業が難しく、小段もあるため丁張り設置に時間と労力が必要だった。
3DMCバックホウを導入したことで、オペレーターは丁張りなしで切り出し位置や勾配が把握でき、バケット刃先が設計面に達すると自動で掘削が止まるため、切り過ぎも防止できた。
また従来施工では、丁張り、粗掘削を繰り返し、その後法面整形というステップになるが、ICT建機で行うと丁張り作業が不要で、作業時間を短縮することができる。この現場ではダンプによる土運搬の制約から土砂搬出量を増やせなかったが、粗掘削の時間短縮を法面整形にあてることができ、約37日と想定されていた施工日数を約25日まで短縮できた。
◆沖縄県/南部東道路改良工事
沖縄県のモデル工事、「H29南部東道路改良工事(4工区-1)」は、掘削が約2万m3、法面整形が約2400㎡の土工で、掘削工全体をマネジメントして生産性を向上させる。
この現場の特殊な施工条件に磁気探査がある。工事にあたり、戦時中の不発弾などを探査する必要があり、この現場では深さ0-3.5mでは50cmごとに、3.5-5.5mで100cmごと、5.5-10mでは200cmごとに磁気探査を実施することになっていた。
従来手順では、探査する深さまで掘削した後、磁気探査を行うが、その間バックホウは待機する。逆に掘削時は磁気探査が待機することになり、作業時間に待ちが生じる。
今回の支援事業では、作業場所を2分割して片側を探査中に、片側で掘削を進め並行作業とすることで、バックホウと掘削との並行作業を実現、待機時間を削減できた。
一方、待機時間の削減で大幅に掘削土量が増えたため、掘削土の搬出が間に合わないことから、搬出量増加の検討も行った。これまでダンプトラック3台で行っていた搬出を2台ペア3グループに編成したところ、積み込み用のバックホウ待機時間がゼロになり、搬出量を1.6倍まで増加させることに成功した。
こうした改善によって、従来手法で約60日かかる工期が、改善後には約40日まで短縮、大きな効果が得られた。
これまで2回にわたって、国土交通省のICT土工普及支援をケースごとに見てきたが、着実に成果や知見が蓄積されている。今後も、i-Conの地方自治体への普及が進むことを願いたい。
(おわり)
残り50%掲載日: 2018年9月25日 | presented by 建設通信新聞