建設技術者向けNEWS
建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!
-
奥村組/覆工コンクリ 急速施工技術を確立/長大山岳T見据え施工性確認
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>奥村組は、ロングスパンセントル方式による覆工コンクリートの急速施工技術をほぼ確立した。長大山岳トンネルにおける急速施工技術の一環として開発を進めているもので、静岡県富士市の施工技術総合研究所で実施している実規模施工実験では、打設量が増大する左右同時圧入方式での打設時に型枠への過度な圧力や変位が生じず、所定の高さまでコンクリートを圧入できることを確認。天端部の充填など品質面でも問題なく、ひび割れ誘発目地形成時の施工性や目地周辺のコンクリート品質とともに、ひび割れ誘発効果の確実性も確認できた。
同社は、月進200m程度の掘削を計画する長大トンネルの急速施工において、同方式を適用すれば覆工コンクリートを中断なく連続して打設でき、かつ少ない人数で施工できるなど優位性がある技術として、今後積極的に提案していく考えだ。
ロングスパンセントル方式は1サイクルの施工長さを延長する。セントル長さを通常の10.5mから18m以上とし、2系統の打設配管を設置しポンプ車2台で前後同時に打設することで時間当たりの打設量が増大。さらに分岐配管を用いて左右同時に生コンクリートを打ち込む。打設口の高さによって流し込みと圧入も同時に行うことで1系統の配管で連続して打設するエリアを拡大。配管切替回数を低減し打設中断時間を短縮する。
実規模施工実験では、打設の高速化とともに、ひび割れ誘発目地の効率的な形成を検証した。目地板をスパン中央部に配置できる長さ9.5mのセントルを使用。ロングスパンセントルの片側を模擬した3ケースとロングスパンセントルにおける目地部と2系統での打設を想定した5ケースの計8つの実験ケースを設定し、6月末から順次打設を開始した。25、26の両日には公開実証実験を開き、その成果を披露した。
側壁部から肩部への打設では圧入時の生コンの流動状況を観察するため、生コン車1台ごとに異なる顔料を投入し、実際の流動状況を見える化。実験では骨材径の違う2タイプの普通コンクリートのほか、繊維混入中流動コンクリート、高流動コンクリートの4種類を使用したが、いずれのコンクリート種も左右の打設高さの違いやセントルに過度な圧力・変位も生じず、問題なく圧入できるなど、十分な品質を確保。また圧力計を高さ方向で1.3mから1.4mピッチで配置すれば、コンクリートの配合にかかわらずほぼ正確にコンクリート高さを可視化できることも確認した。
25日の公開実証実験に立ち会った國行薫土木本部副本部長は「1回の打設で2倍の長さが施工でき、品質も十分確保できる」とし、急速施工が求められる工事とともに、「養生期間を長く取れることでより高い品質が求められるものにも対応できる」として状況に応じて幅広く適用できることを強調した。
残り50%掲載日: 2018年9月26日 | presented by 建設通信新聞