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  • 素材NOW・東レの防護服「リブモア」

    【空気は通し粉じんキャッチ/通気性 まるでポロシャツ/作業効率高め働く環境創出/】

     

     東レが、通気性と防じん性の相反する機能を両立させた防護服『リブモア』の販売に乗り出した。「空気は通しても、粉じんはシャットアウトできる」と、機能製品事業部の勅使川原崇部長代理は力を込める。その実現には同社が1987年に開発した高性能シートの存在が大きい。不織布を電石化させ、通気を成立させながら固体粉じんだけを吸着する。使い切り型の防護服市場では後発の同社だが、この差別化商材で一気に巻き返しを図ろうとしている。

     

     開発を始めたのは2011年からだ。東日本大震災の復興現場では、除染作業員が過酷な状況に置かれていた。着用する防護服の通気性が低いため、高温や高湿度の作業環境では衣服内の温湿度も大きく上昇し、作業効率を落とす原因になっていた。機能製品事業部内にプロジェクトチームが組織され、4年ほどかけて商品化にこぎ着けた。

     

     作業服の分野では強みを発揮していた同社だが、使い切り型防護服の商品化は初めてだった。武田一光機能製品事業部長は「他社と違うものを出したいという思いから、通気性と防じん性の相反する機能の両立に踏み出した。トレミクロンという高性能シートがなかったら、実現しなかっただろう」と振り返る。

     

     トレミクロンはポリプロピレン極細繊維からなる不織布を電石化したもの。これまでに空調用フィルター、インテリジェントビルや工場などの空気清浄機などに使われてきた。リブモアにはトレミクロンを長繊維不織布(スパンボンド)で挟んだ3層構造の生地を採用した。通気度はポロシャツに近い感覚を実現しながらも、繊維のまわりに静電気を発生させ、表面のスパンボンドで粉じんをしっかりとキャッチすることに成功した。

     

     エア吹き出し口にリブモアを取り付けた通気性の実験では容器の中に風をしっかりと送り込むが、他社製品では風がほとんど通らない。防じん性は布を厚くすれば、効果は高まるが、通気性が限りなくゼロに近くなってしまう。空気を通してごみもキャッチする相反する機能が、リブモアの強みだ。しかも生地の強さ、引っ張りも他社製品に負けないという。

     

     「見た目ではわからない。体感して初めて良さを知ってもらえる」と武田氏は呼び掛ける。同社が企業向けに実施した無料提供のキャンペーンには100社以上が参加した。その1割が建設業界だったという。参加企業の評判も上々だ。従来品と比較した場合のヒアリングでは「汗の量が大幅に減った」(機械メンテナンス会社)、「蒸れ感が改善したため、他の社員にも進めたい」(空調設備メンテナンス会社)、「肌離れが良く涼しさを感じることができた」(焼却設備関連専門会社)など数多くの意見が寄せられた。

     

     リブモアの希望小売価格(税別)は1着980円。事業者向け通販サイト『モノタロウ』や工具・ユニフォームなどの販売代理店でも提供を始めた。現在はつなぎタイプだけだが、今秋からはセパレートタイプの販売も予定している。武田氏は「多種多様な専門業種からなる建設業界の場合、セパレートタイプの需要が大きいだろう」と見る。

     

     同社は、基本戦略として「成長分野での事業拡大」をテーマに掲げ、先端材料によるライフイノベーション分野への事業拡大を推進している。その戦略の一環としてリブモアも位置付けている。勅使河原氏は「建設業に限らず、多くの業界で現場最前線の人手不足が叫ばれている。それを改善するためには働く環境を整えることが大事。リブモアがそうであるように、われわれはこれからも機能を売っていく」と先を見据える。

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    掲載日: 2018年10月1日 | presented by 建設通信新聞

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