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  • 建築費指数 じわり上昇/背景に労働力需要増と資材先高感

     資機材価格や労務費などで構成する建築工事費がじりじりと上昇していることが、建設物価調査会の「8月建築費指数」で浮き彫りになった。建築市場の規模を示す8月建築物着工統計は累計(4-8月)、単月ともに前年同期比、前年同月比いずれもマイナスだったものの、建設業の8月新規求人は前年同月比5.0%増と、旺盛な人材確保需要などが指数押し上げの背景にありそうだ。今後も一部資材は先高感もあり、建設産業界で本格化する週休2日など働き方改革の取り組みによって建築工事費の上昇はさらに続く可能性もある。

     

     厚生労働省および東京労働局が9月28日に公表した8月雇用統計では、建設業の新規求人の動きが増加を続けていることが鮮明になった。特に顕著になっているのが、技術者の求人倍率の増加だ。東京労働局がまとめた8月の有効求人数と有効求職者数の割合、いわゆる求人倍率(一般常用)は、「建築・土木技術者」で8.14倍と8月統計で初めて8倍を突破した。

     

     一方、目先の建築市場規模を表す統計の1つ、建築物着工統計の数字は居住と非居住合わせた建築物計で、7月を除く4月から直近8月までの4カ月、前年同月比で減少となった。ただ元請各社の手持ち工事高の水準は依然高く、さらに先行きの建築市場も首都圏や関西圏など大都市圏を中心に一定規模は確保できると判断。そのため高齢化進行と労働力数減少、働き方改革への取り組みを見据え、受注と施工力維持に必要不可欠な技術者確保に前向きになっているとみられる。

     

     こうした動きに連動している可能性があるのが、建築工事費の上昇だ。

     

     実際、建設物価調査会がまとめた8月の建築費指数は、SRC造建築費で119・2(2005年=100)、RC造は120・2、S造116・6。前年同月比ではSRC造で4.5ポイント、RC造も3.8ポイント、S造は4.8ポイントといずれも上昇し続けている。

     

     今後、建設産業界はそれぞれの業種で、長時間労働是正や担い手確保・育成を目的にした「働き方改革」への取り組みが本格化する。その過程で、セメントなど主要資材価格の先高感と労働力確保の取り組みを含めたコストアップを、どこで吸収もしくは転嫁できるか、土木・建築含め建設産業界の大きな関心事になりそうだ。

     

    *建築費指数

     

     建設物価調査会がまとめている、基準年を100とした場合の指数。構造別や種類別に、▽工事原価▽純工事費▽仮設や躯体、仕上げの建築▽設備--の各項目で東京など主要都市の指数を単月、暦年、年度ごとにまとめている。基準年は今年度から2005年を11年に変更、掲載都市も10都市から47都道府県庁所在地へ拡大する予定。関東地区では東京都区部を含めて70都市の指数化も対応可能で、今後は土木分野の指数化も検討する。

     

     建築工事の指数は、物価調査会のほか建設企業が参加している建設工業経営研究会の「経研標準建築費指数」も使われている。

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    掲載日: 2018年10月2日 | presented by 建設通信新聞

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