当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • 日事連 第42回建築士事務所全国大会/建築士のあるべき姿探る

    【専門性高め社会要請に応える/先端技術の活用、女性活躍も】

     

     日本建築士事務所協会連合会(佐々木宏幸会長)の第42回建築士事務所全国大会が5日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれ、大会テーマ「未来に繋ぐ」のもと、全国の建築士事務所から参集した約800人が社会の変化に真摯(しんし)に向き合いながら、これからのあるべき姿を探った。「建築が変わる/仕事が変わる」をメインテーマとした講演とパネルディスカッションでは、独自のリファイニング建築を提唱する建築家の青木茂氏(青木茂建築工房代表)の取り組みを通じて、自らの専門性を高めることで社会的な課題や要請に応えていく1つの像を示すとともに、先端技術の活用や女性活躍などによって事務所運営や働き方をどう変えていくのかを幅広く議論した。

     

     青木氏は、弱体化した既存躯体を再利用しながら、軽量化や補強により耐震性能を高め、大胆な意匠の転換や用途変更、設備を一新して建築の長寿命化を図るリファイニング建築の手法や特長を、『千駄ヶ谷 緑苑ハウス』や『清瀬けやきホール』『北九州市立戸畑図書館』などの具体的な事例をもとに詳細に説明した。

     

     特に既存不適格建物をすべて現行法に適合させることで新築と同等の資産としての価値を担保し、ストック活用の促進につながることを強調。「リファイニングを繰り返すことで建築の寿命が120年ぐらいになる。これによってヨーロッパ並みの建築寿命になるのではないか」とした。

     

     また発注者が地元の設計事務所に青木茂建築工房と協働することを条件とした福島県白河市の『マイタウン白河リファイニング』の事例を紹介しながら、「私たちの技術をなるべく公表したい。社会に対してもう少し開きたいと思っている」として、リファイニング建築の普及に従前以上に努めていく姿勢も示した。

     

     さらに自然災害が頻発する中で「地政学というものはあるが、地災学が今後われわれ建築士に求められることではないか。地域の災害と建築のつくり方、建築のあり方を考えながら設計活動していくことが重要になっている」と力説した。

     

     建設ITジャーナリストの家入龍太氏をコーディネーターとしたパネルディスカッションでは、専門分野として「リファイニング建築」を確立していく過程についても言及。安藤忠雄氏を講師としたヨーロッパの建築ツアーに参加し「イタリアのベローナでカルロ・スカルパの作品を見たことが人生のターニングポイントになった」と述懐しつつ、国内法規の壁を行政も含めたさまざまな専門家との協働によって乗り越え、実践を重ねて独自の手法を構築したプロセスをユーモアも交えながら紹介した。

     

     「同世代の建築家に高松伸や新居千秋氏らがいる。彼らと意匠だけで競争しても勝てないだろうと考え、工法や技術を中心にした建築のあり方を模索してみようと考えたことと、古い建物を再生したことがうまくマッチした」とも。

     

     竹中工務店設計本部の石澤宰コンピューティショナルデザイングループ課長はBIMやAIの活用について、「キーワードは常にデータであり、良いデータをいかに使って効率を上げ、価値を高めていくかが問われている。環境性能を上げる上でもデータのモデルは非常に重要な役割を果たす」と指摘。さらに「データは資産であり、うまく使うと価値になる。そのために大事なのはデータの粒をそろえること。そして可能な限り1つにしておくこと。バラバラに持っているとデータは価値が下がる。データはその重ね方に価値があり、そこに時間と労力が要る。データを基軸にものをつくることも1つの専門性だと考えてほしい」と語った。

     

     一級建築士小林建築事務所長で京都府建築士事務所協会副会長の小林範子氏は、事務所協会への登録代表者数に占める女性会員数が5%に満たない単位会がほとんどであることを示しながら、女性の数を増やすことが働きやすい環境づくりにもつながっていくとしたほか、協会活動を通じて相互に連携し協力しあう関係をつくっていくことの重要性を説いた。

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2018年10月10日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事