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大手5社のロボット開発最前線/自律的移動へ自己位置認識
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【他産業との連携がより重要に】
ロボット技術の進展は施工現場をどう変えていくのか。大手ゼネコン5社のロボット開発担当者が一堂に会したパネルディススカッションが26日に開かれ、建築現場におけるロボット技術活用の最新動向とともに、今後の方向性が指し示された。各社が共通して重要視するのが複雑かつ状況が常に変化する施工現場で自律的に移動できる技術の確立であり、そのためには他分野・業界との連携が従前以上に求められるという認識だ。 同日、東京都内で開かれたBIMイベント『Archi Future2018』で、「ロボット技術が変革する施工現場の現状と未来-熟練技術者不足の解消、生産性の向上、先端技術への転換に向けて」と題するパネルディスカッションがあり、清水建設建築総本部の坂本眞一生産技術本部副本部長、大成建設技術センターの上野純先進技術開発部長、鹿島建築管理本部の小松淳建築技術部部長、竹中工務店技術研究所の菅田昌宏先端技術研究部長、大林組技術本部技術研究所の浜田耕史生産技術研究部副部長が参加。建築家で慶大大学院教授の池田靖史氏のコーディネートで議論を展開した。
建設業界では1980年代前後から2000年代初頭にかけて建築現場でのロボット施工や自動化施工に向けた研究開発が盛んに行われた。この間に開発されたロボット・自動化技術は150機種を超える。そのいずれも十分には普及することができず、姿を消していった。その理由として異口同音に挙げるのが「コストと運用での問題」であり、最大のネックが「現場での移動」だった。
「その工区での作業は効率的であっても、次の工区や上階には多くの人間の手によって移動させなければいけない。省人化のために開発しながら、実情として多くの人力を必要としていた」(菅田氏)というわけだ。ひるがえって「ロボットを活用しBIMを中核としたさまざまなデジタル技術を駆使して生産の高効率化を進めるためには作業実空間における自己位置認識が重要になる」と菅田氏は強調する。
浜田氏も現在のロボット開発を支えるのが「視覚センサーやレーザー計測技術の進展やバッテリーの軽量化と電子機器の小型化、SLAMなどの自己位置推定」など周辺技術の開発を挙げながら、「BIMで3次元動作情報を直接的に教示できることも大きい」とみる。
一方で小松氏は「ロボットがすべてをできるわけではない。見極めが大事であり、職人の声をよく聞いて喜ばれるものをつくることが大事だ」とも指摘。上野氏も「バブル期の失敗を繰り返してはいけない。大事なのはコストパフォーマンスであり、匠の技を生かして作業を支援する、汎用性が高いロボット」を開発目標に据える。
「われわれゼネコンは自律型ロボットでは素人であり、計測センシングや制御など他の分野・業界との連携が必要になる。ただしシナリオを描くのはわれわれ建築の人間だ。ものづくりのノウハウをいかに入れていくかが勝負となる」とは坂本氏。
デジタルコンストラクションによって広がる構造物の可能性を社会的な価値としていかに提供していくか。そこに建設産業をリードする大手ゼネコンの役割を見定める。
残り50%掲載日: 2018年10月30日 | presented by 建設通信新聞