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既存杭利用の手引き 15年ぶりに改定/経済効果の試算例追加/既製コンクリ杭にも拡大/日建連 持続可能な社会後押し
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>日本建設業連合会(山内隆司会長)は、15年ぶりに建築物を対象とした「既存杭利用の手引き」を改定した。既存杭利用による経済的効果の試算例を追加したほか、対象杭種の範囲を既製コンクリート杭などにも拡大した。環境負荷の低減、建設コスト、工期の縮減など既存杭の再利用によるメリットを分かりやすく伝えることで、持続可能な社会の実現を後押しする。 手引きの初版は日建連として合併する以前の建築業協会が2003年2月に発行した。初版の発行以降、超高層建物での既存杭の利用事例や耐震性の低い既存杭に対する水平力の処理方法などが発表され、再利用技術の適用範囲も広がってきていることから、14年から地盤基礎専門部会に「杭の再利用促進ワーキンググループ(WG)」を設置して検討を重ね、内容を拡充した。
初版からの主な改定点は、▽再利用事例・技術の更新▽杭種の範囲拡大▽検討フローの見直し▽再利用に向けた杭の計画と記録の保管▽既存杭利用による経済的効果の試算例の追加--など。杭種については、従来の場所打ちコンクリート杭から、既製コンクリート杭、鋼管杭まで対象範囲を広げている。
既存杭の利用状況では、1995年から20年の間に各種論文などで報告された実績215件のうち、40件を対象に詳細調査を実施し、その結果を一覧表にまとめている。
論文報告調査で既存杭を利用した新築建築物は80年代から増加傾向にあり、00年代の23件をピークに10年以降は7件に減少。WG参加の19社を対象とした実態調査でも同様の傾向にあるが、利用件数は00年代が40件、10年以降が16件でいずれも論文報告調査の件数を上回っている。
既存杭利用のメリットでは、撤去後に新設杭を造成する場合に比べてCO2排出量が5-7割削減されたケースや、コストが約7割削減し、工期が70日短縮した事例などを掲載している。
既存杭の撤去後、新設杭を施工する場合、埋め戻し土の固化不良などの問題も多く報告されている。手引きではこうした背景を踏まえ、新しい建物を新設するたびに杭をスクラップ&ビルドする時代から早急に脱却し、「再利用率を上げることが杭の設計や施工にかかわる技術者としての喫緊の課題」と強調した上で、環境負荷低減に向けて「杭だけが取り残されることは許されない」と意識改革を呼び掛けている。
既存杭の利用には東京都も以前から興味を示しており、日建連は手引きを7日に開かれた東京都建築構造行政連絡会幹事会で紹介した。手引きは日建連のホームページにも掲載している。
残り50%掲載日: 2018年11月8日 | presented by 建設通信新聞