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  • 3年間の緊急対策に限界長期的“計画投資”提唱/“枠外”で事業費確保 従事者の処遇に還元/国土強靱化の推進へ参議院議員 佐藤 信秋氏に聞く

     激甚化する自然災害にどう向き合っていくべきか。想定を超す大規模な自然災害が頻発化する現状に「国土強靱化」の重要性がクローズアップされている。いかに起こり得るリスクに対処できるだけの備えを固めていくか。佐藤信秋参院議員は「ベースとなるインフラ投資の水準を引き上げながら、10-15年の長期スパンで着実かつ計画的に進めていく必要がある」と説く。 今夏も全国各地で大規模な地震や豪雨災害が続発。近年という枠の中でみても、東日本大震災を筆頭に、2014年8月の広島豪雨土砂災害、16年4月に発生した熊本地震、17年7月の九州北部豪雨など、日本列島を襲う自然災害は枚挙にいとまがない。

     

     「都市部で集中豪雨が発生したかと思えば、干ばつ(日照り)によって山間部の陥没被害が発生する。地域によって(性質の異なる災害が起きる)いわば“極端現象”とでも言うべき事態にある」

     

     「かねてから災害への備えとなる事前防災の重要性を訴えてきたが、その国土強靱化に対する思想が(13年12月の)国土強靱化基本法の制定へとつながっていった。国土強靱化の重要性あるいは防災・減災対策の必要性はいまや広く国民に浸透してきているように思う」と話す。

     

    公共事業費の増額

     

     相次ぐ自然災害への対応を念頭に、政府は今後3年間の『防災・減災、国土強靱化のための緊急対策』を推し進める方針を示しているが、「どのくらいの事業費をかけるのか。どこに達成目標を置くのかということが非常に重要になる。(年内に見直す)国土強靱化基本計画あるいは地域計画の中で、長期的なビジョンを打ち出す必要がある」

     

     特に「本当の意味で、国土強靱化を推し進めようとすれば、3年間の緊急対策には限界がある」とも。

     

     とりわけ「公共事業費がピーク時から半減している中で、(緊急対策として投入するインフラ整備費が)従来の公共事業費の枠に食い込むようなことがあってはならない。ベースとなる公共事業費を引き上げながら、そこに上積みする形で進めていく必要がある」と力を込める。

     

    適正利潤で好循環

     

     「地域の雇用を支えながら、有事に備える建設産業は、わが国の危機管理に欠かすことができない重要な産業」と強調。いわば“危機管理産業”としての建設業の持続性を確保する事業環境の改善にも力を入れる。

     

     その好循環への仕掛けの1つが14年度の「担い手3法」の制定だった。

     

     「(公共事業を担う建設企業が)良い仕事をして(それにふさわしい)適正な利潤を得る。それを発注者の責務として打ち出したことが品確法の大きな柱となっている」

     

     「雇用を支えるには企業の経営基盤を安定させなければならない。経営基盤が安定すれば、労働環境や 働く人の処遇の改善にも結びつく。適正利潤の確保によって、その好循環のサイクルを生み出すことが重要になる」と力説する。

     

    新3Kの建設産業に

     

     その好循環の仕組みを回す“装置”として、6年連続で上昇を続けている設計労務単価の引き上げや企業の経営体力を削ぐことにもなりかねないダンピング(過度な安値受注)の抑止(低入札価格調査基準の引き上げ)にも尽力してきた。

     

     実際に近年、建設企業の経営環境は好転。現場で働く労働者の処遇も製造業など他産業を上回る伸び率を示す。

     

     幹事長を務める自民党・公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連)で品確法のさらなる改正を提起。建設業の働き方改革の実現を支える「平準化の推進や迅速な災害対応を可能とする随意契約(緊急随契)の効果的な活用を法律の中に明文化できないかと考えている」という。

     

     その先に自らが提唱する新3K(給与が良い・休日が取れる・希望が持てる)の建設産業への再生を見据える。

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    掲載日: 2018年11月9日 | presented by 建設通信新聞

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