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2018年重大ニュース/利益改善が鮮明、生産性向上へ加速
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>◆相次ぐ自然災害/各地で大規模災害、BCP議論活発化
日本各地で災害が頻発した。6月には大阪北部地震が発生。その約1カ月後には、西日本を中心に全国的に広い範囲で2018年7月豪雨が発生した。9月6日の北海道胆振東部地震では、北海道全域295万戸にわたり大停電が起こった。強い勢力の台風も相次いで日本列島を直撃した。
これらの災害は、BCP(事業継続計画)の確立に向け大きな教訓を残している。災害派遣の手順を適切に遂行するには、自治体・行政と地域の建設業との連携が欠かせない。現在のインフラの老朽化対策や、不安定化する気象への対応など、建設業として大規模災害に備えるべき課題は山積している。
◆18年3月期決算/大手・準大手ゼネコン6割が最高益
2018年3月期決算は、良好な受注環境を背景に、高水準にある工事採算が利益を押し上げた結果、過去最高益が相次いだ。大手・準大手ゼネコンは26社のうち6割に当たる16社が最高益となった。大手を見ると清水建設以外は増収増益で、売上げ高1兆9000億円超の大林組が4期連続で過去最高を更新したほか、利益面は鹿島と大成建設が営業利益・経常利益・純利益で、大林組が営業利益・経常利益で過去最高額となった。
設備関連でも豊富な手持ちと工事の安定した消化によって、空調系上場大手は6社すべてが、電気系も5社中4社が増収増益だった。
◆建設キャリアアップシステム/4月の本格稼働へ年明けに限定運用
来年4月に本格運用をスタートさせる『建設キャリアアップシステム』。実質的に当初の運用スケジュールを“延期”する形となっていたが、いよいよ本格稼働への準備が整ってきた。年明けから本格運用の前段にある限定運用がスタートする。
現場での経験を積み重ねるごとに自身のデータが蓄積されていくことになる技能者や、その技能者が所属する専門工事企業にとっては、自身のキャリアや、企業としての施工力を対外的に証明するための“評価ツール”になる。技能や経験を適正に評価するための制度インフラの今後の普及・活用に期待が高まる。
◆国土地盤情報データベース/直轄事業での運用体制整う
地盤情報の収集・利活用を目的とする情報プラットフォーム『国土地盤情報データベース』が運用を開始した。8月までに国土交通省のすべての地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局が運営主体である国土地盤情報センター(岩崎公俊理事長)と協定を結んだことで、直轄事業での運用体制が整っていた。9月から同センターと協定を交わした発注者と、その受注者による登録データの閲覧を開始した。国土地盤情報データベースは、官民が所有する地盤情報を収集・共有する仕組み。目に見えない地下空間の利活用や施工リスクの軽減が期待される。
◆M&Aが新展開/続くかゼネコンによる地場企業買収
ゼネコン各社は、好況な市場と新市場開拓に向けてM&A(企業の合併・買収)に強い関心を示してきたが、準大手ゼネコンの戸田建設による佐藤工業(福島市)の子会社化は、業界におけるM&Aが新たな段階に入ったことを予感させた。各社とも地場ゼネコンのM&Aには以前から関心を示しており、今後、続く企業が出てくるのかが注目される。このほか、アクティオホールディングスが三信建設工業を、エーエヌホールディングスが日特建設をそれぞれ子会社化するなど特殊技術を保有する企業の異分野企業への傘下入りや、ヤマトと小林工業の資本提携といった地場企業間の連携も始まっている。
◆新技術開発が加速/ロボット、AI、5Gで広がる異分野連携
建設現場の生産性向上に向けた技術開発でゼネコン各社はロボット、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信システム)を使った新技術の開発を加速している。鉄骨柱の溶接や資材運搬などさまざまな職種で活用が広がるロボットは、自律移動技術の確立に向けた計測・制御技術が求められる。画像処理技術を生かしたAIによる施工品質評価やあらゆる機械・人のデータを収集・分析するIoT化技術の進展も著しい。画像・動画・3D図面データや機械制御など膨大なデータのやり取りに必要な5Gにも各社が注目しており、異業種との連携が広がっている。
◆改正建築士法成立/実務経験なしで受験可能に
建築士試験における受験資格の柔軟化を柱とする改正建築士法が成立した。受験機会を早期化して受験者数減少に歯止めをかけることが狙いで、2020年度の試験から適用される予定だ。
これまで1級建築士の受験の必須条件だった「2年以上の実務経験」が撤廃され、大学卒業後は実務経験なしでいつでも受験できるようになった。一方で2年以上の実務経験は、免許登録までの要件に置き換えられた。
受験者にとっては資格取得に向けた見通しが立てやすくなり、雇用側にとっては資格を持つ若手を確保しやすくなるメリットが出てくる。
◆設計業務報酬基準改正/業務実態踏まえた報酬適正化目指す
国土交通省による「建築設計・工事監理等業務報酬基準」の改正は、業務実態を踏まえた報酬基準の適正化が狙い。設計のフロントローディング(前倒し)化や業務量の増大など、設計者を取り巻く業務環境は大きく変化している。改正では略算表などの内容を見直すとともに、これまで対象外だった小規模・大規模建築物にも範囲を広げた。一方、設計の難易度係数も細かく設定している。基本設計と実施設計については、それぞれ別の設計者が担うケースも多いため、業務量の比率を示した。従来あいまいだった標準業務と標準外業務の内容・領域なども明確にしている。
◆都の入札契約改革/低価格帯で事前公表、「1者入札」は撤回
東京都の小池百合子知事が主導していた入札契約制度改革は、1年間の試行期間を経て6月25日から本格実施が始まった。本格実施では低価格帯のみ予定価格を事前公表に戻し、「1者入札の中止」は5月25日から前倒しして撤回した。また、JV結成時の加点を増加し、JV結成を参加要件とする「技術者育成モデルJV工事」を導入した。
試行、本格実施と2年続けて制度が変わり、業界全体が振り回された。小池知事は本格実施について「試行の結果を踏まえた改善策」と説明しているが、「この1年間はなんだったのか」(都議会議員)との意見も根強い。
◆大阪万博開催決定//東京五輪後の建設需要下支えに期待
2025年国際博覧会(万博)の開催地が大阪市に決まった。国内では05年愛知万博以来となる大規模万博の開催となる。
大阪万博の会場となる大阪市の人工島・夢洲では万博だけでなくIR(統合型リゾート)の誘致も目指しており、IRの計画を踏まえた基盤整備や鉄道整備(延伸)なども計画されている。
全国への経済波及効果は約2兆円と試算され、1970年の大阪万博が関西の経済・産業界の発展に大きく貢献したことから、日本全体にとっても20年東京五輪後の建設需要が下支えされることに期待が高まる。
◆12建協でトップ交代/厳しい時代乗り越え地域に存在感示す
全国47都道府県の建設業協会で、会長交代が相次いだ。5月までの総会で、茨城、長野、静岡、愛知、京都、滋賀、鳥取、愛媛、福岡、熊本、大分、鹿児島の12府県建協の会長が交代。いずれも公共工事の市場が減少の一途をたどり、民主党政権時の最も厳しかった時代を乗り越えるなど、地域の建設産業構造が大きく移り変わる時代に会長に就任した。地域の実情を強い言葉で国土交通省などに訴え、地域への予算配分増加や地元企業配慮の入札契約制度導入を働きかけ、存在感を示してきた。茨城建協の岡部英男氏と鹿児島建協の川畑俊彦氏はそれぞれ8期16年の任期を務めた。
◆高力ボルト・角形鋼管需給ひっ迫/納期が通常の4倍に伸びる
建設現場で使われる高力ボルトの需給ひっ迫を受け、国土交通省は11月に初めて実施した需給調査の結果を公表した。ボルトの納期は全国平均で通常の約1.5カ月から約6カ月へと4倍程度に伸びている。納期の長期化について国交省は、2020年東京五輪や大型再開発など鉄骨需要が旺盛な状況が続く一方で、ボルトの材料となる鋼材の供給、ボルトメーカーの生産が追いついていないと分析している。
高力ボルトとともに、角形鋼管(コラム)の納期も延びており、人手不足を背景に近年、急増してきた鉄骨造の市場に影響を与えている。
◆免震・制振ダンパー不正/数値書き換え不適合品出荷
KYBと子会社であるカヤバシステムマシナリー、川金ホールディングス傘下の光陽精機と川金コアテックによる免震・制振ダンパーに関する不正が明らかになった。両社は大臣認定や顧客との契約に満たない製品の検査数値を書き換えるなどし、不適合製品を出荷していた。KYB製品では不正の疑いも含めて、免震用で995物件、制振用で107物件が不適合に該当すると発表している。施工中の物件などで早急な対応が必要となるゼネコンからは今後の影響を懸念する声が挙がっている。国土交通省は外部有識者委員会を設置し、年度内に再発防止策をまとめる。
◆働き方改革が本格進展
◇ゼネコン/先端技術で効率化進む
建設業界を上げて働き方改革が進む中、日本建設業連合会は4月から統一土曜閉所運動を始めた。会員企業の全事業所を対象に2018年度は毎月第2土曜日、19年度は毎月第2、第4土曜日の統一閉所を強力に推進する。
ゼネコン各社はモデル現場の試行などで課題の洗い出しを進めるとともに、休日確保の原資となる生産性向上に注力する。ロボットやIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)など技術を導入し、効率的な生産体制の構築を図る。先端技術の活用へオープンイノベーションも進んでおり、19年は取り組みのさらなる加速が見込まれる。
◇建設コンサルタント/協会挙げて長時間労働是正に取組む
建設業と違い猶予期間のない建設コンサルタントにとって働き方改革は「待ったなし」だとして、建設コンサルタンツ協会は6月に、村田和夫会長を本部長とする改革推進特別本部を設置。協会挙げて会員企業の長時間労働の是正や多様な働き方の実現に取り組んでいる。特に国内市場の約8割を公共分野が占めるだけに、国土交通省各地方整備局との地方ブロック意見交換会では、3月に集中する納期の分散やウィークリー・スタンスの取り組み強化などを強く訴えた。これを受けて国交省も19年度から履行期間設定支援ツールの適用を拡大するなど、納期平準化を推し進める姿勢を示している。
◇設計/提案する側から就業環境を改善
4月からの適用を受けて、残業時間・休日出勤の抑制による総労働時間の縮減が進んでいる。雇用の延長など就業規則の見直しなどが進む中、「企業に働く場を提案する側」の立場から、自らのワークプレイス改善に取り組む設計事務所が増えている。グループごとの集合・離散が容易なフリーアドレス制や、“健康経営”を志向した食事の提供、さらにはICTを活用して“時間”“場所”のフレキシブルを追求する動きもある。
その一方、長期間にわたって労働時間を無視してきた体質も残るため、「一人ひとりの意識改革が必要」と、企業文化として働き方改革を定着させる取り組みを進める。
◇専門工事業/元請、下請団体が実現に向け協働
働き方改革の最大の目的となる担い手確保へ技能者の賃金水準の引き上げに向けた元請団体と下請団体の協働が進展している。3月に石井啓一国土交通相が「建設業働き方改革加速化プログラム」に沿った積極的な対応を建設業団体に要請。それを受け建設産業専門団体連合会は、5月の総会で技能者の直用化や月給制への移行、給与の引き上げなどを決議した。
日本建設業連合会も給与の引き上げに必要な労務費を確実に支払う、会員企業による『労務費見積り尊重宣言』を打ち出した。
元請団体と下請団体の双方による働き方改革への歯車が動き始めている。
◇設備工事業/業界挙げて計画実現へ
設備工事業界でも、働き方方改革に向けた取り組みが加速している。日本電設工業協会(後藤清会長)や日本空調衛生工事業協会(長谷川勉会長)はことし、相次いで働き方改革に向けた行動計画を策定した。時間外労働の削減目標や、週休2日を定着させる推進目標を掲げている。
設備工事会社は下請けに入ることも多く、発注者や元請けとなるゼネコンとの連携が欠かせない。建築と設備の調整が未了のまま、発注時の設計図書が作成される実態も指摘されている。工程が厳しくなった場合の弾力的な工期の変更と、所要経費を発注者が負担するルール化などが課題となる。
◆新社長誕生/新時代に向け経営刷新
2018年も多くの新社長が誕生した。
1月には西田工業の西田吉宏氏が就いた。2月は積水ハウスの仲井嘉浩氏が就任した。
3月は大林組の蓮輪賢治氏、ラサール不動産投資顧問のキース藤井氏、新井組の倉元正史氏、日建学院の近藤伸彦氏が就いた。
新年度を迎えた4月には、JR東日本の深沢祐二氏、JR東海の金子慎氏、東京急行電鉄の高橋和夫氏、青木あすなろ建設の辻井靖氏、高松建設の高松孝年氏、西松建設の高瀬伸利氏、日立ビルシステムの関秀明氏、東洋エンジニアリングの永松治夫氏、小田急不動産の金子一郎氏、三信建設工業の山崎淳一氏、鹿島道路の吉弘英光氏、不動テトラの奥田眞也氏、富士古河E&Cの日下高氏、安藤ハザマの福富正人氏、ダイダンの藤澤一郎氏、太平洋セメントの不死原正文氏、宇部三菱セメントの森千年氏、佐藤渡辺の石井直孝氏、熊谷組の櫻野泰則氏、地崎道路の渡邊誠司氏、松村組の岩本恭治氏、日本ファブテックの小野重記氏、JFEシビルの弟子丸慎一氏、三菱商事都市開発の糸川裕樹氏、みらい建設工業の小西武氏、カジマUSAの内田道也氏、ダイビルの園部俊行氏、福井コンピュータの杉田直氏、昭和フロントの笹澤英夫氏、JAG国際エナジーの坂根多加弘氏、日本空調サービスの田中洋二氏、カンドーの加茂孝之氏が就任した。
5月はJESCOの小林正明氏、日本キャタピラーの本田博人氏が就任。
株主総会の集中する6月には、東急建設の今村俊夫氏、伊藤忠都市開発の松典男氏、森本組の小林宗二氏、横河ブリッジの高田和彦氏、横河住金ブリッジの齊藤功氏、川重冷熱工業の篠原進氏、四電工の宮内義憲氏、中電工の迫谷章氏、パスコの島村秀樹氏、大京の小島一雄氏、大京穴吹建設の丑澤正樹氏、NIPPOの吉川芳和氏、佐田建設の土屋三幸氏、丸藤シートパイルの加藤七郎氏、鉄建建設の伊藤泰司氏、明電舎の三井田健氏、ミライトの中山俊樹氏、北陸電気工事の矢野茂氏、東畑建築事務所の米井寛氏、共立建設の佐藤啓孝氏、三菱マテリアルの小野直樹氏、大日本土木の馬場義雄氏、淺沼組の浅沼誠氏、本州四国連絡高速道路の酒井孝志氏、カジマ・リノベイトの西村佳也氏、NEXCO西日本の酒井和宏氏、NEXCO東日本の小畠徹氏、東芝エレベータの中川誠氏、西原衛生工業所の三村浩一氏、多田建設の佐藤俊也氏、守谷商会の吉澤浩一郎氏、丸紅建材リースの●山章司氏JR貨物の真貝康一氏、青山機工の菊地保旨氏と多くのトップが誕生した。
7月は野原ホールディングスの野原弘輔氏、9月にはMCデータプラスの飯田正生氏、住軽日軽エンジニアリングの青山茂樹氏が就いた。
10月はパシフィックコンサルタンツの重永智之氏、11月は高山工業の太田剛氏、12月には松田平田設計の江本正和氏、INA新建築研究所の加藤朋行氏が就任した。
残り50%掲載日: 2018年12月28日 | presented by 建設通信新聞