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2019年業界を読む/ゼネコン下(2)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【産業構造の変革を意識/働き方改革と生産性向上に全力】
大手・準大手ゼネコンにとって生産性向上と働き方改革は目下、最大の課題だ。「4週6休」や「4週6閉所」など自社の状況にあった目標を設定し、実現に向けて人員の確保や生産性向上を同時に進めるというのが各社の基本的な姿勢で一致している。具体的な取り組みは、▽人員の確保▽社内制度や職場環境の改善▽ロボット、IT、プレキャスト化など新技術の導入▽現場作業の見直し▽協力会社との取り組み--の5種類に大別される。
人員の確保で特徴的なのが、五洋建設だ。清水琢三社長は「人を採用できる企業とそうでない企業に2極化する」とまで言い切る。ここ数年は190人以上の採用を続け、既に現場社員の4割が入社10年以内という状態で、外国人留学生など海外人材の獲得にも力を入れる。
飛島建設は「人的資源という経営課題に対応していく」(乘京正弘社長)という考えで7月に65歳定年制を導入、若築建設の五百蔵良平社長も「より長く働けるような定年制度の構築も検討したい」と前向きだ。同社では、高等専門学校の学生に対する奨学金制度も創設し、若手人材の確保にも手を打つ。
社内制度・職場環境の改善は、竹中工務店が力を入れる。作業所での時差出勤や振り替え休日の取得期間延長、内勤者のテレワークなどを次々に実行し、大阪本店や東京本店、FMセンターなどの改修も着実に進める。大林組もテレワークを採用しているほか、戸田建設や飛島建設はフレックスタイム制を採用。東洋建設の武澤恭司社長は、本社の神田神保町への移転で「従業員の通勤負担の軽減や生産性向上に寄与する」という効果も狙う。清水建設は「働き方改革WEEK」というイベントで社内の意識改革を進める。
ロボット、IT、プレキャスト化など新技術の導入では、大林組の蓮輪賢治社長が「ロボット化・機械化をどんどん加速し、結果としての生産性向上を追い求める」と話すように、各社が競っている分野。さまざまな技術をほぼすべてのゼネコンが導入・検討している状態だ。
現場作業の見直しでは、大成建設が「デジタルプロダクトセンター」の設立による図面業務集約化を進めるほか、西松建設は「現場工務革新センター」を設置して現場業務の一部を内勤社員が担う取り組みに力を入れる。
協力会社との取り組みで目立つのは、鹿島だ。平日の作業時間延長による土曜日閉所を打ち出し、「顔認証と建設キャリアアップシステムをセットにして、土曜閉所に協力した協力会社に『支援金』を支払う形で協議している」(押味至一社長)という。協力会社へのこうした提案が、多能工化に乗り出した会社も出るなど、結果的に協力会社の意識変化につながっている。大林組の蓮輪社長が「働き方改革や生産性向上によっておのずと多能工化やロボット化が進み、生産プロセスの変革が引き金となって重層構造などの産業構造自体の変革につながることは否定できない」と表現したように、働き方改革と生産性向上の先には、産業構造の変革が待ち受けていることを各社が意識する時期に入っている。
(竹本啓吾)
残り50%掲載日: 2019年1月16日 | presented by 建設通信新聞