建設技術者向けNEWS
建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!
-
2019年業界を読む・建築設計(3)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【視線は東京五輪から大阪万博/建築の力を誇示する好機】
再開発やインバウンド(訪日外国人客)需要への対応で2020年以降も首都圏の市場環境が堅調に推移する中、大手組織設計事務所のトップは、前期から今期にかけて「大阪を始めとする関西圏、福岡が特に好調だった」と口をそろえる。25年の大阪万博開催が決まったことで、「新たに役員クラスを大阪に常駐させる」と、早くも対応を本格化させる企業があらわれるなど、IR(統合型リゾート)の誘致もあいまって関連・周辺事業を含めた熱い視線が大阪に注がれている。
その大阪万博のテーマは「いのち輝く未来の社会デザイン」。前回の70年の大阪万博は丹下健三、05年の愛知万博では菊竹清訓が総合プロデューサーに名を連ねただけに、今後の人選も注目される。その一方、「万博の歴史の中で、建築はさまざまな可能性を示してきたが、今回は蚊帳の外だ」と、建築設計界が置かれた現状を嘆く声も聞かれる。「新たな社会のデザインという命題に応えて、流れを引き戻したい」と、これを機に再び建築の力を示すことを狙っている。
建築設計・監理業務の報酬基準となる国土交通省告示15号が近く改定される見通しだ。多様な発注方式が浸透し、設計施工一括や業務の各段階で分断発注されることにより、「プロジェクトに一貫して関わる機会が減っている」と危機感を募らせる中、標準外業務が規定されたことで、「設計事務所本来の姿」であるコンサルタント的な立場を意識した受注戦略を各社が強める傾向にある。また、新たな業務報酬基準が官民を含めた発注者に浸透することで、「量の追求をやめて、時間を含めて社員に還元していく」と語る経営トップもいるだけに、この先の経営戦略に与える影響も計り知れない。
4月には働き方改革関連法案が施行される。技術サービス業に含まれる建築設計事務所は、罰則付き時間外労働の上限規制が適用される。総じて大手では、総労働時間の縮減に向けて、さまざまな手が尽くされる中、オフィス環境や勤務形態など、人への投資を強めており、その流れはことしも続きそうだ。
また、10月には消費税率が8%から10%に引き上げられる。これまでも繰り返されてきた駆け込み需要と反動減への対応に加えて、「リーマン・ショック時の2倍近い」とも言われるなど高止まりしている建築コストに対し、積算士の増員などでより精度を高め、クライアントに理解を求める取り組みが求められる。
また、昨年10月に発覚したオイルダンパー改ざん問題への対応では、構造設計者を中心に正しいデータをもとに安全性の検証が進む一方、ダンパーの新規出荷停止を受けて設計の変更や修正、プロジェクトの延期なども起きている。あるゼネコンの建築担当幹部は、「超高層のマンションになれば取替工事は数年単位になる」とみており、再発防止に向けて、第三者検査機関を設置しようという動きも起きており、今後もしばらく話題の中心となりそうだ。
残り50%掲載日: 2019年1月17日 | presented by 建設通信新聞