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  • 2019年業界を読む・コンサル(4)

    【人材確保と研究開発に積極投資/中長期の視野から新市場開拓】

     

     好調な時をどう過ごすかでその先の道が分かれる。売り上げ、利益とも過去最高を達成した企業が相次ぐなど、おしなべて業績が上向く建設コンサルタント業界では、中長期的な視野から人材確保と研究開発に積極投資する姿勢が目立つ。国土強靱化のための緊急対策による公共事業予算の増額は、働き方改革と生産性向上を表裏一体のものとして一段と加速させる強烈な追い風となる。

     

     日本工営の有元龍一社長は、今期からスタートした新中期経営計画の達成に向けて「技術と人財」の強化を重視する。「毎年150人程度を新卒採用していく」とともに、研究開発費には「過去3年間に比べて1.5倍の予算」を投入、次世代基幹技術の開発・普及やAI(人工知能)、ビッグデータを活用した新たな技術開発など「この3年間で技術力を磨いていく」と意気込む。

     

     八千代エンジニヤリングの出水重光社長も新中計の初年度となる今期を「転換移行期」と位置付け、新たな市場開拓に積極的に取り組む姿勢とともに、研究開発や業務執行の効率化にかける費用を「前期に比べ3割増」とする方針を打ち出した。

     

     支社を廃止し、事業部制に完全移行した応用地質の成田賢社長は社会課題に対応したソリューションの提供に向け、「来期の研究開発費は今期の1割増、設備投資はそれ以上に増やしていく」と言明。特に「AIをいかにこれからのビジネスにつなげていくか、ことしは勝負の年になる」と見据える。

     

     AIやIoT(モノのインターネット)などのデジタル技術のビジネス活用はもはや「必須」という共通認識のもと、「複数のプロジェクトが同時並行的に進んでいる。今期末には何らかの成果が出てくるのではないか」とオリエンタルコンサルタンツの野崎秀則社長が語るように、2019年は幅広い業務で生産性向上や業務効率の改善につながる新たな技術・サービスが数多く提供され、話題を呼ぶかもしれない。

     

     RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)を含め、ICTの活用は働き方改革にも直結する。

     

     昨年を「働き方改革総仕上げの年」と位置付けた建設技術研究所の村田和夫社長は、時間単位年休制度やシフト勤務制度などとともに「事務系の業務にRPAを導入」し、「自動化するところは自動化していこう」と取り組んだ。

     

     長大の永冶泰司社長は、公共投資が拡大することで「人手不足となって過重労働を招くような状態になってはならない。まさに待ったなしで基幹事業のIT化を加速していく」と強調。パスコの島村秀樹社長も「AIとRPAを組み合わせて使うことでコストダウンと同時に働く時間が抑えられる」と確信を込める

     

     一方で「ワーク・ライフ・バランスに対する制度設計と整備は完了した」と語る大日本コンサルタントの新井伸博社長は「働き方は個々人の意識の持ちようでもある」とし、教育に関しても従来のOJT(職場内訓練)の限界を指摘しながらリカレント研修を重視する姿勢を示す。

     

     前期に売り上げ、利益とも過去最高を達成しながら今期、あえて増収減益へと「大方針転換」したパシフィックコンサルタンツの重永智之社長は、目先の利益にとらわれることなく、「原価はかかっても創造的なプロジェクト、国家的なプロジェクトには積極的に参画する。それは未来に向けての利益だ」とする。働き方でも本質的な無駄を排除するには「ありのままにやること」が大切であり、それが結果として「生産性を上げる」と説く。

     

     時代や社会の課題に向き合い、経営資源を集中して、新たな収益構造を確立させていく。そのかじ取りが問われる1年になる。

    (建築設計=今野英司、コンサル=布田勉)

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    掲載日: 2019年1月18日 | presented by 建設通信新聞

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