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  • 港湾工事にCIM本格導入/直轄初の事例、基準策定に反映/2019年度モデル工事発注/国交省

     国土交通省は、港湾工事におけるICT技術の全面的な活用を図るため、CIM導入の促進に向けた取り組みを本格化する。直轄発注で初めてとなる舞鶴港での設計・施工一貫のCIM導入工事の事例などを踏まえ、2018年度内に基準類を整備し、19年度以降から試行業務やモデル工事の発注に乗り出す。将来的にはすべての情報を一元管理できるCIMサーバーの構築を進め、維持管理を含めた3次元データ活用の実現を目指す。

     

     舞鶴港のCIMモデルの活用は施工計画の検討や打ち合わせの高度化、事前の安全確認など多方面で効率化に効果を発揮した。また、電子黒板とタブレット端末を導入し、出来形管理資料とクラウドで同期することにより事務作業も軽減した。

     

     一方で、試行工事を通じた課題も明らかになった。3次元の点群データを使って出来形管理を行う際、ファイルサイズが非常に大きいこと、法線の出入りに関して点群データから角となる部分が自動検出できないため、手動で設定する必要があることが挙げられた。

     

     導入に当たっては、3次元化する範囲、ドローンによる写真測量・写真撮影、国土地理院の電子地図、3Dスキャナーそれぞれの必要性を勘案して、測量方法の選定や3次元化の範囲を決定することが必要となる。また、港湾工事共通仕様書を適用できないため、出来形管理や検査に使用できる基準の策定も必須となる。

     

     国交省はさまざま工事への普及展開を目指し、今回の工事などを基にCIM導入ガイドライン案の作成を進めている。特記仕様書や事前協議での作成範囲・詳細度、地形モデル(海底地盤面)、構造物モデル(上部工、本体工、付属工など)、総合モデル(構造物・地形)に関する内容をまとめ、2月に開催予定の港湾におけるICT導入検討委員会に提示する考えだ。

     

     将来的には、さらなる省力化を目指し、計測データをCIMサーバー上で一元管理する体制を構築する。タブレットに入力された出来形や電子小黒板の情報を自動で図表や写真として登録。属性情報を3Dモデルに反映し、港湾局がアクセスできるようにする。システムは、横須賀の国土技術政策総合研究所で一元管理する方針だ。

     

     港湾分野がCIMを始めとする効率化に力を入れるのには老朽化や災害対策以外にも理由がある。例えば、近年舞鶴港はクルーズ客船の寄港が急増しており、17年には4船の初入港を含み合計で39回クルーズ船が寄港した。クルーズ需要の増加に伴い環境整備が求められている。近畿地方整備局舞鶴港湾事務所の安達昭宏所長は岸壁だけでなく、港湾部から市街地を直結する臨港道路(上安久線)の整備にもCIMを導入していることを説明。事務所として積極的に取り組む姿勢をみせる。

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    掲載日: 2019年1月25日 | presented by 建設通信新聞

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