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  • 全建・近藤会長/歓迎の声 全国に拡大/労務費上昇分/支払いを明言/働き方改革前進へ大きな弾み

     全国建設業協会の近藤晴貞会長の昨年冬のある発言を評価・歓迎する声が地方の専門工事業界で急激に広がっている。他団体首脳なども出席した労務費に関する近藤会長の発言は、全国各地域で現在開かれている専門工事業団体新年会出席者の表情をより一層明るくしている。一方、近藤会長にとっては、担い手確保・育成へ向けた強い覚悟を表明した形だ。

     

     昨年12月の政権および与党の一部幹部らと日本建設業連合会、全建、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会の4団体による働き方改革を中心にした意見交換会。この席で全建の近藤会長はこう切り出した。

     

     「労務費アップ分について、全額を下請けに払っていなかった。しかし来年(2019年)からはアップ分はきちんと全額支払っていく」。公共工事限定とはいえ、改めて処遇改善への取り組みに強い意思を表明した。突然の衝撃発言に対し、誰からも近藤発言への言及はなかったという。

     

     この異例発言には続きがある。近藤会長は「各地域の中小元請けは、急激な市場縮小とダンピング(過度な安値受注)で経営体力が極度に落ちていた。そのため、まず自らの経営体質改善にアップ分の一部を充てるケースもあった」と説明し、理解を求めた。

     

     近藤発言は、年が明けて各地区で開かれた各専門工事業団体の新年会で一気に拡散、「地方元請業界を代表する全建会長の発言は勇気付けられる」と歓迎する声が相次いだ。

     

     地域の専門工事業経営者らが歓迎するのは近藤発言が、自らが取り組まなければならない課題解決につながる光明ととらえたことが理由だ。

     

     これまで「公共工事設計労務単価=職人賃金」ではないものの、今後さらに大きな課題となる担い手(職人・技能労働者)確保・育成に当たって、賃金アップは必要不可欠と言われてきた。ただ、そのかぎを握る専門工事企業からは「元請けから単価アップ分を受け取っていないから職人にも支払えない」との声が多かった。

     

     処遇改善につながる職人の賃金アップについて、全建は公共工事設計労務単価の改定分を下請けに反映させる取り組みを徹底する「単価引き上げ分アップ宣言」を、日建連は専門工事従事者の処遇改善に連動させ必要賃金を確実に支払う「労務費見積り尊重宣言」を打ち出している。

     

     近藤会長は、昨年冬の自身の発言を歓迎する声が専門工事業界で拡散していることについて、「地方の中小建設企業などで構成する全建は、昨年4月から単価引き上げアップ宣言など働き方改革に取り組んでいる。ただ疲弊していた地方の中小元請けにとって経営体質強化が必要だったのも事実」と前置きした上で、「元請け、下請けが力を合わせ、建設産業界の課題に取り組んでいくことが重要だ」と話す。

     

     全建が職人らの処遇改善へさらに一歩取り組みを進める覚悟を表明したことは、専門工事業界にも新たな対応を求めることになるのは確実。元請けが1次下請けにアップ分を支払っても、最終的に職人・技能労働者の賃金・単価アップにつながるかどうかは、重層化した専門工事業の対応如何(いかん)にかかっているからだ。

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    掲載日: 2019年1月30日 | presented by 建設通信新聞

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