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NJS/ドローン点検技術、19年秋に実用化/地上から安全・効率作業/広島市の下水道で効果確認
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>NJSは、閉鎖性空間を対象とした点検調査用ドローン「Air Slider(エア・スライダー)」の実用化にめどをつけた。作業員が入孔せずに地上部から機体をマンホール内に降下させる「発射台」や機体を確実に引き戻し回収する「リール」などの周辺機器を独自開発することで作業性が大幅にアップ。広島市下水道局が実施した下水管内点検調査の実証では、従来の調査手法に比べ所要時間が5分の1と大きく短縮できることが確認されたほか、作業の容易性や安全性、さらに撮影画像と展開図の精度の高さなど管路内点検スクリーニング技術として高い評価を得た。同社は、今回の実証結果から日進量(1日の調査距離)は「1.5㎞程度は確実」としている。今秋にも周辺機器を含めたエア・スライダーによる点検調査システムとして市場投入する予定だ。 広島市では、耐用年数を迎える管渠が今後急増することから、限られた予算と人的資源で老朽化による不具合の発生が懸念される管渠をより効率的に特定できる技術を検討。下水管内点検調査の効率性向上、作業安全性向上が期待されるとして、ドローンによる点検調査の実証を2018年12月20日に実施した。
実証フィールドは、佐伯区五日市中央6丁目付近の雨水管(管径600mm)で長さ約130mを調査対象とした。エア・スライダーは、NJSが自律制御システム研究所(千葉市)と共同で開発したもので今回は管径400-1350mm対応モデルのAS400を使用。毎秒0.5m以上の移動速度で管渠内部の状況を近接撮影が可能か、また映像をその場で展開図化し管渠内部の状況が確認できるかなどの効率性とともに、安全性やスクリーニング調査結果としての有効性を確かめた。
作業手順は、地上部から機体とWi-Fiアンテナを搭載した発射台をマンホール内に降下させ、調査する管渠内に設置。作業員は地上から操縦端末を用い、FPV(一人称視点)で内部を目視しながらタッチ操作で機体を操縦し画像を取得する。調査終了後は機体に接続するリードで自動巻取りし機体を回収。その帰路でも画像撮影ができ、往復でダブルチェックできる。取得した画像はその場で展開図化し、作業結果を確認する。
この日の点検調査は、準備・片付けを含め15分程度で終了。これは既存の調査手法に要する時間の5分の1となり、言い換えれば同じ時間内での作業量は5倍となることが確認された。一連の作業を作業員がマンホール内に入ることなく地上から行えることから、同市下水道局では「酸欠や硫化水素などによる調査中の事故を防げる効果もある」とし、2K画像(解像度1920×1080px)の精度も良好で「その場で展開図化することにより点検調査の品質も一定のレベル以上であることを確認できた」としている。
こうした結果を踏まえ、ドローンによる点検調査をスクリーニング調査とすることで「距離当たりの点検コストの低減が期待でき、これまでと同等の予算額でより詳細調査に近い精度の調査結果が得られ、効率的に不具合個所の特定が可能になる。また効率性、安全性が高いことから、点検調査が繰り返し必要となる重要度の高い施設などを、よりきめ細やかに点検することも期待できる」と高く評価し、今後の維持管理に積極的に導入していく考えを示している。
残り50%掲載日: 2019年2月4日 | presented by 建設通信新聞