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  • 連載・建設産業・新時代の視座 No.18/強靱化に挑む(3)

    【建設業の存在価値、国民が再認識/災害対応空白地域解消へ連携模索】

     

     2011年3月11日、三陸沖を震源にマグニチュード9・0という、明治以降わが国観測史上最大規模の「東北地方太平洋沖地震」が発生した。太平洋プレートと北米プレートの境界域での連動型地震によって岩手県沖から茨城県沖まで南北約400㎞、幅約200㎞にわたって断層が破壊され、最大震度7を記録した激しい揺れとともに最大到達高度(遡上高)が40mを超える大津波が東日本の太平洋沿岸を襲い、原子力災害をも引き起こした。

     

     この「東日本大震災」は、まさに未曾有の広域複合災害であり、その甚大な被害とともに電力供給の制約やサプライチェーンの寸断による2次的な影響は被災地のみならず国内外にも広く及び、わが国の社会経済や価値観まで大きく揺るがした。

     

     特に岩手、宮城、福島3県の沿岸域の多くが壊滅的な被害を受け、通信が途絶し電気、ガスなどのライフラインも止まる中、初動復旧に大きく貢献したのが地元建設業だ。

     

     自らも被災者でありながら大津波警報が発せられた発災直後から救急・救援活動を円滑に進めるための道路啓開など応急対応に自発的に取り組み、獅子奮迅の活躍を見せた。

     

     一方、日本建設業連合会加盟のゼネコンなど全国展開する大手企業も、業界団体と連絡を密にしながら、人員・資機材の応援や救援物資の調達・送り出しなど被災地支援に不眠不休の態勢を敷いた。

     

     こうした献身的な活動は地域社会を担い支える建設業の役割や存在価値を改めて社会に知らしめ、公共事業や社会資本整備に対する国民の意識が大きく変わるきっかけともなった。

     

     東日本大震災を受けて災害対策基本法が12年と13年に改正されたほか、13年12月には国土強靱化基本法も制定。防災・減災が政策の主流に位置付けられる中で、建設業は行政と連携して災害対応に当たる「地域の守り手」としての期待が高まり、15年4月と10月に日建連と全国建設業協会が内閣総理大臣から建設業として初めて「指定公共機関」に指定された。建設業による災害時の応急・復旧活動の公益性が法的に認められたもので、政府を中心とした応急・復旧活動などの一員としての役割を果たす。

     

     また全建会員の47都道府県の建設業協会はすべて国、都道府県などとの間で災害協定を締結。指定公共機関の地方版と言える「指定地方公共機関」にも18年9月現在で20の建協が各道県知事から指定を受けるなど、災害の予防・応急・復旧の各段階で重要な役割を担っている。

     

     一方で、全建の会員企業が不在の「災害対応空白地域」は18年4月末時点で全国1741市区町村の約1割に当たる187市町村にのぼり、29都道府県が会員不在の市町村を抱えている。さらに将来的に不在になる懸念がある市町村も90あり、建設業が地域防災に対応することの困難な地域が増大する可能性が指摘されており、地域建設業が安全の担い手としての役割を今後とも果たしていくための環境整備が求められる。近年の自然災害が大規模かつ広域化する中で仙台市と浜松市の建協が災害時援助協定を締結するなど、より広域的な連携を模索する動きも出始めている。

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    掲載日: 2019年2月6日 | presented by 建設通信新聞

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