当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • 授業の試験対応化懸念/全建教が建築士資格制度改善アンケート

    【学部生、院生「悪影響」予測7割超】

     

     日本建築学会の全国建築系大学教育連絡協議会(ともに古谷誠章会長)は4日、建築士資格制度改善に関するアンケート結果を発表した。受験要件に実務経験が課されないことによる影響は、学部生への教育で79%、大学院生への教育で89%が「影響ある」と回答。このうち学部生で70%、大学院生で78%が悪影響としており、「資格試験教育と化すことが懸念される」などの課題が寄せられた。同日に開かれた日本建築学会と共催したシンポジウム「今後の建築教育の方向性-国際化と建築士資格制度変更」の中で示した。

     アンケートは、(1)建築士資格取得の実務経験の合理化(2)実務経験の範囲の拡大(3)CADによる製図試験の導入--の3項目。216大学に送付し、48大学から回答があった。

     

     実質的に学部卒業直後に1級建築士試験が受験可能になることで「影響する」とした回答のうち、「どちらかというと悪影響」が49%、「悪影響」は21%で、「どちらかというと好影響」は27%、「好影響」はわずか3%にとどまった。

     

     悪影響とした回答では、「企業が内定した学生に資格用の勉強を課すことになり、卒論に取り組む時間がなくなる」「授業内容が試験対応型に形骸化し、多様性が失われる」「合格者数が評価に結びつけられ、大学教育の自由をゆがめる」などの意見があった。一方、好影響とした回答では、「学びと資格取得を結びつける学生が増える」「建築学習のモチベーションを上げる」「専門科目への受講姿勢に好影響を与える」「すでにカリキュラムが1級建築士資格対応」などの声が上がった。

     

     同じく大学院の教育に「影響する」との回答では、「どちらかというと悪影響」が46%、「どちらかというと好影響」は27%、「悪影響」は22%、「好影響」は5%だった。悪影響側の意見は、「企業の採用活動で学科試験をパスした大学院生が優遇される。学科試験対応を重視した広く深い建築学の学修基盤が失われ、資格試験教育と化すことを懸念する」のほか、資格取得に向けた勉強に時間を費やすことで、本来の研究・教育時間への影響を懸念する声が相次いだ。

     

     一方、好影響側の意見では、「カリキュラムとの連動次第で相乗効果が見込まれる」「実務経験の範囲が以前のように修士課程修了まで認められれば大学院進学者が増加する」「比較的時間に余裕があるので試験対策に時間がとれる」「実務経験算入のためのインターンシップ関連科目による負担が軽減される」などがあった。また、大学院進学者数については、「変わらない」が59%、「やや増加する」が32%、「やや減少する」が5%、「増加する」と「減少する」は各2%だった。

     

     将来、2次試験をCADに置き換える場合、各学校における現行の設計・製図カリキュラムへの影響については、「大いに影響する」と「影響する」が各27%、「やや影響する」が35%、「影響しない」は11%だった。「影響する」のうち、「どちらかというと悪影響」は57%、「悪影響」は22%、「どちらかというと好影響」は21%、「好影響」はゼロだった。悪影響側の意見は「手描き製図は、スケール感、現場での修整など究極に必要な技術」「製図力ではなく設計内容重視などの本質的な改善」「教育環境整備の問題が大きい」など本来重視すべき建築教育への影響を課題とした。好影響側は「CAD関連の単位数・コマ数を増加したカリキュラムの構築につながる」「実務社会における設計製図方法との整合」など、より実践的な教育につながる意見が寄せられた。

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2019年2月6日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事