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  • 現場から・大成建設・IHIインフラ建設・八方建設JV「熊本325号災害復旧阿蘇大橋上下部工事」

    【難条件下で安全・品質確保/大型設備で工程促進】

     

     2016年4月に発生した熊本地震により南阿蘇村の黒川をまたぐ阿蘇大橋が崩落した。現在、その約600m下流側で阿蘇大橋の架け替え工事が大成建設・IHIインフラ建設・八方建設JVの施工により進んでいる。急峻な地形に加え、黒川を境目に異なる気象など特有の難条件を克服しながら、1日も早い供用開始に向けて懸命な作業が続いている。大成建設の園部文明所長は「安全を確保し良い品質のものを提供したい」と語る。

     

     国土交通省九州地方整備局発注の「熊本325号災害復旧阿蘇大橋上下部工事」は、橋長345mのPC3径間連続ラーメン箱桁橋を構築する。片持架設工法で最大支間長165m。設計コンサルタントは長大。工期は17年3月17日から20年9月30日まで。

     

     下部工の4基の基礎工事ではPR1橋脚、PR2橋脚、PR3橋脚を大口径深礎杭、A2橋台は深礎杭をそれぞれ施工する。深礎までの山留めとしてPR1橋脚、PR3橋脚はいずれも竹割り型土留め工法で施工。

     

     PR2橋脚の基礎工事個所は柱状節理で、工事の影響を最小限に抑えることが求められた。その対策として周囲5mの表面に剥落防止のウレタン系樹脂を吹き付けた。さらに内部掘削を進めることによる応力の開放で地山の安定性を損なう可能性もあることから、ウレタン材を注入して柱状節理の保護と工事の安全に努めている。

     

     またPR2橋脚の基礎は柱状節理の個所を黒川水面から14m下まで掘り進めるため、止水対策も大きな課題となる。園部所長は「本社設計部とも連携して対策を検討している」と明かす。

     

     現場では年間を通して風が吹き続けるほか、黒川の右岸と左岸で風の有無や強さも異なる。当初は両岸ともに段差桟橋を設け、クレーンによる資機材の揚重を検討していたが、そうした風の影響を考慮し計画を変更。両岸に最大60tまで積載可能な大型のインクラインを整備した。

     

     ダンプトラック、トレーラーがいずれも2台乗せられ、基礎工事個所へと資機材を供給している。またインクラインにアプローチする桟橋には大型のガーダーを使うことで杭の本数を減らし、積載重量は維持しながらも経済性を高めた。

     

     今夏から始まる予定の上部工の張り出し架設には同規模工事の3倍となる630tm(tm)の大型移動作業車を使用する。移動作業車の大型化により張り出しブロックの数を21ブロックから15ブロックまで削減する。「求められるのはスピード。設備の大型化が工程促進に寄与する」(園部所長)。

     

     現場では1-2月の最低気温が氷点下となり風の影響からさらなる冷え込みも予想される。今後について園部所長は「コンクリートの冬季養生にしっかりと取り組まなければならない」と気を引き締める。「成果品として要求性能を満足させるためには技術だけでなく現場の設備もきちんと整える必要がある」と見る。

     

     目指すのは1日も早い供用開始だ。「急峻な個所での工事のため安全の確保を最重視し、トラブルなく良い品質のものを提供したい。さらなる工程促進案を日々考えながら工事を進めていく」と力を込める。

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    掲載日: 2019年2月25日 | presented by 建設通信新聞

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