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マーケット断面・独ショック社/コムバー NETISに登録、普及促進/イソコルブ 熱橋防止でS造へ積極展開
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【作業員の負担軽減、集合住宅・病院にも】
ドイツの建材メーカーであるショック社は、日本国内で主力製品の展開に力を入れる。これまで次世代路面電車(LRT)に採用されたガラス繊維系ロッド材「ComBAR(コムバー)」がNETIS(新技術情報提供システム)に登録され、今後は土木分野でさらなる普及を目指す。また、ヒートブリッジ(構造熱橋)対策用の構造ユニットシステム「Isokorb(イソコルブ)」は先進的なプロジェクトで採用が進むが、世界各国での実績を武器に、増加するS造への適用を狙う。
コムバーは、樹脂で成形したグラスファイバー製のリブ付きロッドで、鉄筋に代わるコンクリート用曲げ補強材として使われる。鉄筋の2倍以上の引張強度を持ち、耐腐食性や耐薬品性に優れる。さらに非導電性、非磁性も備える。
国内では富山市のLRT軌道に初採用された。車両検知システムとしてセンサー上部の車体の有無を検知できるマスディテクター方式の装置が導入されており、周辺に鉄材があると検知機能が低下する可能性があったことから、路盤コンクリートの補強筋として非導電性を備えるコムバーが使われた。
一方で世界の施工事例を見ると、LRTを始め、耐腐食性から橋梁や海洋構造物、排水処理施設などに採用され、高耐久性に寄与している。また、国内では指定建築材料ではないため建築構造材として使用できないが、海外では非導電性や非磁性を生かして発電所や研究施設などでの適用が進んでいる。2018年の世界実績は220t、長さに換算すると約420㎞に上る。
同社日本法人の石井登社長は今回のNETIS登録を機に「LRTだけではなく、より幅広く土木分野へ展開したい」と意気込む。のこぎりでも切れる高い加工性からシールドトンネルのシャフト壁に使っても掘削機で容易に貫通でき、引き合いも来ているという。
鉄筋の3分の1という軽さは現場作業の負担軽減にもつながる。石井社長は「労務環境の面から作業員にも喜ばれるのではないか」と期待を寄せる。販売代理店を務める麻生商事との連携も強化し、さらなる普及を目指す。
同社のもう1つの主力製品であるイソコルブは、外断熱建物の熱橋防止部材。建物の壁とバルコニーの接続部分に埋め込んで両側を鉄筋で支持し、バルコニーなどの荷重を支え、熱損失を防げる。
国内ではYKKが富山県黒部市で手掛ける自然エネルギーを活用し、電力や化石燃料などのエネルギー消費を抑えたまちづくり「パッシブタウン」に採用された実績もある。
国内実績は2000mだが、世界では35カ国へ年間約100万mを出荷しており、特に欧米ではS造への採用が多いという。国内ではこれまでRC造向けに注力していたことから、今後は「高層のS造などへの対応を検討していく」(石井社長)考えだ。
建物の省エネ化への関心の高まりを背景にさらなるニーズを見込んでおり、石井社長は「設計事務所やゼネコンなどに世界の実績を紹介していく」ことで採用につなげたい考え。集合住宅を始め、病院や学校など幅広い建築物への普及を目指す。
残り50%掲載日: 2019年3月4日 | presented by 建設通信新聞