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  • 連載・BIM未来図/元年から10年/長谷工コーポレーション(5)

    【新たな価値提供に進化/各フェーズにBIMフル活用】

     

     BIMからLIM(リビング・インフォメーション・モデリング)へ--。長谷工コーポレーションは事業戦略として住まい情報(BIM)から暮らし情報(LIM)への展開を位置付ける。活動領域は計画・設計・施工・販売のフローから、建物管理・大規模修繕・リノベーション・建て替えのストックにまで広がり、それに対応させた一貫BIMの構築を青写真として描く。

     

     既にマンション販売では、BIMモデルから完成イメージなどをパンフレットに出力しているほか、モデルルームではVR(仮想現実)を使って住戸を実体験してもらう取り組みも始めた。現在2件のモデルルームで活用を始め、好評を得ている。中野達也エンジニアリング事業部BIM推進室チーフは「販売手法が大きく変わるように、ストック領域のサービスのあり方も今後大きく変化するだろう」と力を込める。

     

     実験的に自社の社員寮では、センサーから暮らしの情報を取り込み、新たなサービスに発展させる検討もスタートさせた。BIMデータを基盤にAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)への展開を見据えた試みとなり、将来的には外部と連携したオープンイノベーションに発展させる計画を持つ。堀井規男設計部門エンジニアリング事業部統括室長は「フロントローディングをしているとはいえ、現在1.6倍に及ぶ従来のCAD作業との差を1.0倍まで持っていきたい。そのためにはAIを駆使した設計のプロセスも必要になってくる」と先を見据えている。

     

     同社は、マンション事業のストック領域にも、BIM活用の幅を広げようと、設計施工段階から入れ込むべき情報の整理を進めている。設計レビューに事業者も参加させる計画を持つのも、より前段階から完成後のことを見据えた検討をすることができるとの狙いからだ。

     

     「目的をしっかりと定め、情報を集約することが何よりも大切。情報を正確に、そしてタイムリーに伝える仕組みづくりにこれからも注力する」と原英文建設部門建設BIM推進部部長は自らに言い聞かせるように語る。2022年3月期に設計施工案件でBIM100%を目指す中で、新屋宏政エンジニアリング事業部BIM推進室室長は「そこが建設段階の総仕上げの年であり、ストックを見据えた次の時代の幕開けでもある」とポイントを絞り込む。

     

     同社が目指すBIMからLIMへの道のりは、決して平坦ではない。「設計施工の段階では既に7合目まで登り詰めているが、ストック領域まで含めれば、まだ5合目ぐらいだろう」と原氏は考えている。マンション事業でのトータルビジネスという視点に立つ同社は、各フェースでBIMをフル活用できる枠組みを描くだけに、目指すべき到達点はまだ先にある。

     

     「いままでにない価値提供がLIMの領域になる。マンションのトータルサービスを展開する中で5年先、10年先にはBIMからLIMにシフトしていくことになるだろう」と、堀井氏は力を込める。軌道に乗り始めた長谷工版BIMは、さらなる進化に向けて動き出している。

     

    (おわり・西原一仁)

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    掲載日: 2019年3月14日 | presented by 建設通信新聞

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