当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • プロジェクト・アイ/ぴあMMアリーナ計画(横浜市西区)/施工は佐藤工業

     横浜市西区でチケット事業大手のぴあによるアリーナ建設プロジェクトが進行している。民間企業として国内で初めて、収容1万人規模の音楽イベント専用アリーナを建設する事業。アリーナ建築でここ数年実績を伸ばしている佐藤工業が施工を担当している。現場では新規入場者教育にロボットを活用して職員の負担軽減に取り組むなど、ユニークな試みも実践している。

     

     計画地は横浜の大規模開発エリア・横浜みなとみらい(MM)21の一画。MM21ではぴあが計画する「(仮称)MMアリーナ計画」のほかに、「Kアリーナプロジェクト」(事業主・ケン・コーポレーション)など複数のアリーナプロジェクトが動いている。2022年には既存の施設を含め、MM21に五つの音楽ホールが立地する予定だ。

     

     MMアリーナ計画の特徴は、全方位から舞台上のアーティストが身近に感じられる客席レイアウト。スポーツイベントを中心とするアリーナの多くはすり鉢状の形状となっているため、客席が上層に上がるにつれてステージから遠のいてしまうケースもあった。今回の計画では4層の客席が後方ではなく上に広がることで、上層にいてもアーティストが身近に感じられ、ライブハウスのような一体感が得られる設計となっている。

     

     建物はRC・S造地下1階地上4階建て延べ2万3016平方メートルの規模。1階の可動席に4164人、2~4階の固定席に5600人を収容できる。屋根には新日鉄住金エンジニアリングのシステムトラス屋根を採用した。3月時点の工事進捗(しんちょく)率は約45%。今月からトラス屋根の組み立て作業に入っている。

     

     現場ではハード・ソフトの両面から作業の効率化に取り組む。このうち、ソフト面での特徴的な取り組みが新規入場者を対象としたシャープ製の小型ロボット「ロボホン」の活用だ。工事の概要や安全教育などに関する説明を職員に代わってロボホンが行い、職員の業務負担軽減に取り組んでいる。

     

     現場では新規入場者に健康状態や取得資格などに関する記述式のアンケートを記入してもらう。その後、ロボホンが新規入場者向けに工事概要などを説明。その時間を活用して職員がアンケートを集計して作業の効率化を図っている。これまでの新規入場者は延べ約2000人。工事概要の説明などにロボホンを導入したことで、年間50時間の短縮が実現できたという。佐藤工業が新規入場者の教育にロボホンを活用するのは今回が初の試みだ。

     

     現場を統括するみなとみらい38街区作業所の松枝健太所長は「人間が説明する場合と違い、説明にむらがなく均一に説明できる」と評価。ロボホンは日本語、英語、中国語の3カ国語に対応しており、外国人作業員への説明も可能という。

     

     ハード面では作業を省力化する一環として、客席を構成する段差状の床や大梁、小梁に工場製作のPCa(プレキャストコンクリート)部材を採用。現場打ちコンクリートの量を減らすことで打設や養生などの作業を省略した。このほかにも足場に移動式足場を活用することで組み立て・解体の手間を減らし、工期の短縮を図っている。

     

     PCa部材はクレーンで設置するため、現場では複数基のクレーンが同時に作業する。安全対策ではクレーンの接触防止にレーザーバリアーを導入した。任意の範囲をレーザー光で面状に照射することでバリアーを作り、照射範囲を常時監視する。バリアーが侵入する物体を検知するとオペレーターに警報を通知する仕組みだ。

     

     アリーナは20年3月の完成を予定する。竣工まで残り1年を切り、工事はヤマ場を迎えつつある。完成に向けて松枝所長は「安全に気を配り、品質の良い建物を発注者に引き渡したい」と意気込みを語る。

     

     《工事概要》

     

     □工事名=(仮称)MMアリーナ計画

     □発注者=ぴあ

     □設計・監理=佐藤工業、とお一級建築士事務所

     □施工=佐藤工業

     □工事場所=横浜市西区みなとみらい3の2の1

     □構造・規模=RC・S造地下1階地上4階建て延べ2万3016m2

     □工期=2017年12月15日~2020年3月31日

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2019年3月26日 | presented by 日刊建設工業新聞

前の記事記事一覧次の記事