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JAXA、鹿島、芝浦工大、電通大、京大/月面拠点建設へデモ
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【バックホウ自動運転技術を開発/通信遅延の課題もクリア】
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と鹿島、芝浦工業大学、電気通信大学、京都大学は、科学技術振興機構(JST)イノベーションハブ構築支援事業に基づく「JAXA宇宙探査イノベーションハブ」に採択された「遠隔操作と自動制御の協調による遠隔施工システムの実現」の研究開発中で、バックホウの自動運転技術などを開発した。28日、神奈川県小田原市の鹿島西湘実験フィールドで無人施工による月面拠点の建設をイメージしたデモンストレーションを公開した。鹿島は今後、「クワッドアクセル」の実用現場などで、バックホウ自動運転の適用を検討する。
月面拠点の建設は、居住空間となるモジュールの設置場の整地、所定の深さまでの掘削、モジュールの設置、モジュールの覆土という作業が必要になる。建機が自動で動いてダムを施工する鹿島の「クワッドアクセル」をベースに、キャリアダンプとバックホウに車体位置・方位を計測する機器や自動走行制御装置を搭載し、遠隔操作と自動運転が可能な建機に改造した。クワッドアクセルで自動化できているのは、ダンプトラックとブルドーザー、振動ローラーの3種類で、これまでバックホウの自動化は実現していなかった。今回の研究で、バックホウの掘削や土砂の積み込みを自動で実施できる技術を開発した。
宇宙拠点の建設では、建機の作動を地上で指示してから3-8秒後に宇宙で動き始める通信遅延の問題がある。このため、遠隔地の建機が3秒後にいる位置を予測して画面に表示する技術を開発。ダンプなどが最適な位置に移動する際に、荷物を置く場所までの最適ルートと障害物がある場合の最適ルートを自動生成したり、自律的に衝突を回避する応急動作を行う「協調作業機能」も付加した。作業中の地形変化などがリアルタイムで把握できず遠隔操作が困難になった場合に、レーザースキャナーで現地の形状を計測してプログラムの動きを補正できる技術も開発した。
これらの技術を組み合わせ、事前のプログラミングによって現地での繰り返し、定型作業、指定された地点間の移動・走行を自動で実施し、細かい調整を遠隔で操作する技術の実現可能性を見出した。
デモンストレーションでは、バックホウとキャリーダンプが、事前のプログラミングに従って、縦3m横4mの穴を自動で掘削・排土し、モジュールを設置後に自動で覆土する作業を実行した。
今後は、重量のあるモジュールを置く作業の自動化や、建機に取り付けたカメラなどを基に状況を判断して最適な行動を取るための技術などが課題となる。
残り50%掲載日: 2019年3月29日 | presented by 建設通信新聞