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現場を担う-工事長×所長/首都高・小松川JCT河川部工事/環状線の通行止め桁仮設
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>◇施工はIHIインフラシステムJV
首都高速道路会社が東京都江戸川区内で進める首都高速中央環状線(中環)・小松川ジャンクション(JCT)の建設事業。2019年度内の開通に向け工事が大詰めを迎えている。首都圏の大動脈として機能する中環や首都高速7号小松川線を通行止めし、限られた時間内に起重機船で桁架設などを手際よく進めてきた。首都高速会社東京西局プロジェクト本部小松川工事事務所の宝子丸薫子工事長は「(受発注者の)綿密な工程立案と巧みな連携があった」と振り返る。
□綿密な工程、受発注者が巧みに連携
小松川JCTは、小松川線と15年3月に全線開通した中環を連結し、首都高速道路全体のネットワーク効率をさらに高める機能強化事業の一つとして計画された。埼玉方面に向かう中環の内回りに小松川線上りから乗り入れられるようにするB連結路(延長約780メートル)と、中環の外回りから小松川線の下りに至るA連結路(約460メートル)の整備、小松川出口の付け替え、中環の内回りへの中環小松川入り口や小松川料金所の新設を行う。11年11月に国土交通大臣から事業許可を取得し、13年11月に着工した。
小松川JCTは、ともに東京湾に注ぐ1級河川の荒川、中川の河川区域や、中川東岸の陸側にまたがる。首都高速会社は陸側の上・下部工それぞれと、河川部に分けて大型工事を発注。陸側の下部工はフジタ、上部工は川田工業、河川部はIHIインフラシステム・大成建設JVが受注した。
通行止めを伴う桁架設を実施したのは、「(改)小松川JCT河川部工事」を担当したIHIインフラシステムJV。工事概要は連結路の橋脚工、上部工、付属物工などの実施設計・製作・架設、基礎・杭工、フーチング工など。A連結路の一部の架設は、17年12月9日の夜間に小松川線上りを通行止め、下りは1車線規制し、さらに中川の航路を閉鎖。台船で運んだ架設ブロックのつり上げ・据え付けを120トンのクレーンを備える起重機船で行った。
B連結路の一部は、小松川線の上下線を通行止めするとともに中環外回りを車線規制し、中川の航路を閉鎖した2月10日の夜間や、中環外・内回りを通行止めした同27日の夜間に架設を実施。10日は120トンクレーンのある起重機船、27日は荒川左岸高水敷を作業ヤードとして活用し、550トンと360トンのクレーンを架設に用いた。
B連結路の架設は、通行止めした上で実施する作業が大雪の影響で予備日ともに中止となり、計2日の夜間で計画した作業を1日に短縮して行わなければならない日があった。中環の上空で桁を閉合する作業もあり、現場は架設時間を短縮しつつ、閉合の高い精度を確保するための工程を受発注者が念入りに協議して作業に臨んだ。河川区域の工事のため、強い風が吹きやすい渇水期の冬に実施しなければならず、東京湾の干満に伴う波浪によって生じる作業上の危険を排除する対策を講じる必要もあった。
それ以前にも現場では、クレーンを配置する陸側の作業ヤードが限られたことから、クレーンの位置や、作業当たりの架設延長、仮設作業台の有無などを巡って、受発注者がそれぞれの立場からの意見をすり合わせてきた。「架設計画は(受発注者の)みんなで練ってきた」と宝子丸工事長。周辺の一般道を含め、通行規制の影響を最小限にとどめつつ、安全に配慮した高品質の作業を遂行しようと、一丸となってきた受発注者の結束力と、万全を期した段取りを頼りに、中環上空部のB連結路の架設に挑んだ。
首都高速の通行止めを巡っては、作業の数カ月前から関係機関との協議が行われ、予定日は2カ月前に決定していた。「波と風が穏やかなことを願わずにいられなかった」。IHIインフラシステムJVで現場作業を指揮した澤邊久雄所長は桁架設が完了し、舗装工事などを控える現場で当時の心境をそう語る。東京湾口から架設エリアまで航行させられる起重機船や品薄の続く高張力ボルトの手配、製作する桁の徹底した品質管理など目配せしてきた工程は枚挙にいとまがない。桁の一部を荒川から船で搬送し、中環直下の作業ヤードでリフトアップさせながらの組み立てなども行ってきた。「施工管理の中でも安全が一番大事だと考えている」と宝子丸工事長。現場に出た際は、作業員に安全をさらに意識してもらえるよう、邪魔にならない程度の声掛けに努めている。
水辺にそびえる小松川JCTは、周辺の景観に配慮し、桁色がウオーターサイドブルーになる。「工事のお知らせを丁寧に、近隣の皆さまへの影響ができる限り少なくなるようにしたい」(宝子丸工事長)。現場は受発注者がコミュニケーションを図りつつ、大屋根階段一体型の新しい料金所の建築工事や高耐久型超低騒音舗装の施工など、仕上げ作業に取り掛かる。
残り50%掲載日: 2019年4月3日 | presented by 日刊建設工業新聞