当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • スコープ/変わる建設業「CCUS」「新在留資格」始動/レベル判定や外国人就労管理

     建設技能者の確保・育成に関わる二つの仕組みが動きだした。1日に技能者の就業履歴などを蓄積するための「建設キャリアアップシステム(CCUS)」と、改正出入国管理法(入管法)に基づく「新在留資格(特定技能外国人)」が始動。石井啓一国土交通相は2019年度を「建設技能者元年」と位置付け、「建設業を取り巻く環境は大きく変わる。大変重要な1年となる」と説く。日本人、外国人を問わず現場で働く技能者が誇りを持ち、生涯にわたり建設業で働き続けられるような環境をどう生み出そうとしているのか、リポートする。

     

    1790

     

     技能者一人一人の就業履歴や保有資格などを業界統一ルールで蓄積するCCUS。技能者の能力を適切に評価し、処遇改善につなげていく初の試みだ。建設業振興基金(振興基金、佐々木基理事長)が運営する。

     

     国交省は技能や経験に応じてすべての技能者が評価され、適正な処遇を受けられる環境を整備するため、CCUSで客観的に把握できる情報の活用策を検討。具体策として、技能者の「能力評価制度」と、専門工事業者の施工能力の「見える化制度」を構築し連動させる。これにより技能者は経験とスキルに応じた処遇を受けられ、良い職人を育て雇用する企業が選ばれる。こうした処遇改善や人材投資の好循環を生み出す仕掛けとなる。

     

     能力評価制度は大枠を示す告示と、詳細を明記するガイドラインが、CCUSの本運用開始と同じ1日に施行。専門工事業団体などが職種ごとに作る能力評価の基準と実施規定に関する業界共通のルールのほか、CCUSの利用を始める前の経験に関する評価方法なども示した。能力評価の基準と実施規定が策定された職種では、技能者が技能レベルを客観的に4段階で評価できるようになる。

     

     見える化制度については、昨年9月の有識者会議の中間取りまとめを踏まえ、制度の具体化に向け議論を進めている。一人一人の技能レベルに応じたキャリアアップカードを技能者に早く交付できるよう、国交省はCCUSと連携して技能水準を簡易に評価する「レベル判定システム(仮称)」の開発にも着手する方針だ。

     

     就業日数や保有資格と、職種ごとに策定する能力評価基準とを照らし合わせ、技能レベルを判定する仕組み。申請者(技能者または代行者)は同システムにオンラインでログインし、評価申請とカード交付申請を行う。CCUSと情報をやりとりしてレベルを判定し、申請者に通知。同時に振興基金へ結果が通知され、レベルに応じたカードが申請者に交付される。20年度をめどに稼働させる計画となっている。

     

     1日施行の入管法に基づき新しい在留資格制度が創設された。現場の人手不足が課題となっている中、生産性向上や国内人材確保の取り組みを行ってもなお生じる人手不足について、一定の専門性や技能を持つ即戦力となる特定技能外国人を受け入れる。建設分野の受け入れ見込み数は5年間で最大4万人が上限。初年度は11職種を対象に、5000~6000人の受け入れを見込んでいる。

     

     国交省は建設業の特性を踏まえた独自の受け入れ計画・審査の仕組みを導入。外国人の入国に先立ち、受け入れ企業は計画の作成、国交省による独自審査、法務省の入国審査と段階を経る必要がある。国交省の基準としては、同等の技能を有する日本人と同等以上の報酬の安定的支払い、技能習熟に応じた昇給などを規定。受け入れ企業と外国人材がCCUSに登録することも義務付けた。

     

     建設分野への外国人の受け入れについては、「外国人の技能実習の適切な実施および技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)に基づく技能実習制度と、国交省が20年度までの時限措置として15年4月に開始した外国人建設就労者受け入れ事業の二つの仕組みがある。現在、両制度合わせて約5万人の外国人を受け入れているが、外国人技能者の失踪や建設現場での外国人の不法就労といった課題も指摘されている。

     

     改正入管法には新在留資格の創設のほかに、技能実習生の適正な保護や、失踪者の減少に関する措置を求める付帯決議が盛り込まれている。国交省は付帯決議や外国人の受け入れ実態、新設する特定技能の受け入れ基準を踏まえ、技能実習生と外国人建設就労者の受け入れ基準を見直す。受け入れ企業と外国人に対し、CCUSの登録を義務化。安定的な賃金の支払いとして「月給制の採用」も受け入れ基準とする。

     

     受け入れ企業と外国人にCCUSへの登録を義務付けることから、国交省は外国人の適正な就労環境の実現を支える「外国人就労管理システム(仮称)」を構築する方針。CCUSに蓄積された情報で受け入れ計画に従って就労させているかどうかを確認。計画と異なる就労が判明した場合はアラートを鳴らし、巡回指導の効率化につなげるのが狙いだ。

     

     国交省はCCUSのさらなる活用策も検討。CCUSを核に、レベル判定システムと外国人就労管理システムを機能させて、日本人、外国人ともに適正な処遇を受けられる環境を整えていく考えだ。

     

     1日施行の働き方改革関連法のうち改正労働安全衛生法では、事業者に対し、労働者の労働時間の状況について客観的な方法などにより把握することを義務付けた。国交省はこの規制に対応するにはCCUSの情報を活用していくことが有用とみており、CCUSを活用した働き方改革への対応策についても検討を進めていこうとしている。

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2019年4月16日 | presented by 日刊建設工業新聞

前の記事記事一覧次の記事