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戸田建設施工の高宮学園JECビル/耐震性とデザイン両立
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【免震工法に細円柱CFT採用】
戸田建設は、同社が設計・監理・施工を手掛けている高宮学園(高宮英郎理事長)の管理部機能を持つ事務所ビル(仮称)JECビル(東京都渋谷区)で、戸田式免震工法(TO-HIS工法)を始めとする各種構造技術を採用し、複雑な平面形状という制約下で高い耐震性能とデザイン性を両立させている。
建設地はJR代々木駅前で、今後始まる代々木駅前再開発に向けた先行事例の事務所ビルとなる。建物は三角形の敷地形状に対して建築面積を最大化し、その中で階数を低くすることが求められた。そのため、建物の平面形状は不整形なホームベース形状となり、柱や梁への負担が均一ではなく、バランスの良くない構造という課題があった。
課題解決のため、戸田式免震工法のほか、「高強度鋼材を使った細円柱CFT(コンクリート充填鋼管構造)」「粘弾性ダンパーを使った極細柱」の3つの構造技術を採用することで、高い耐震性能とシンプルで自由度の高い事務所ビルというデザインコンセプトの両立を実現した。
戸田式免震工法は、高摩擦タイプの弾性すべり支承と天然ゴム系積層ゴム、オイルダンパーを組み合わせた免震工法。同工法の採用により、地震時の建物の長周期化が図られ、地震発生時に建物に加わる力を耐震構造の半分以下に低減し、高い耐震性能を実現する。
高強度鋼材を使った細円柱CFTは、550ニュートン級の高強度鋼材を活用するとともに、コンクリートを充填し(CFT柱)、強度・剛性を向上させることで、柱断面を径450mmまで絞り込み、柱の存在感を極力減らした。
細円柱にCFTを採用する場合、コンクリート充填速度が高まるため、柱と梁を一体化するために取り付けられているダイアフラム周辺部のコンクリートの充填不良が懸念される。このため、ダイアフラムのコンクリート打設孔の外周に充填補助鋼管による「つば」を設け、打設孔周辺の充填スピードをコントロールし、確実に柱内にコンクリートを充填する工法を考案し実用化した。
粘弾性ダンパーを使った極細柱は、複雑な平面プランで径100mm間柱と粘弾性ダンパーを使った床制振システムを活用し、事務所としての良好な機能を実現した。建物先端の三角形の跳ね出しスラブの揺れを抑え、軸力を低減する粘弾性ダンパーを径100mmの極小径間柱で実現し、床の居住性を大幅に改善した。
建物の規模はS造(柱CFT造)地下1階地上7階建て延べ6181㎡。工期は2019年8月まで。
残り50%掲載日: 2019年5月13日 | presented by 建設通信新聞