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  • 高力ボルト不足対策/納期・納入先を明確化/国交省、不確実な注文の抑制を業界団体に要請

     国土交通省は17日、納期の長期化が続いている高力ボルトの需給の安定化に向けた対策をとりまとめ、契約適正化の対応を建設業界団体などに要請した。同省は水増し発注や重複発注などの仮需要を除いた実需ベースでは需給に大きな乖離(かいり)は見られず、「市場の混乱に基づく一時的な現象である」と分析。対応策として、不確実な注文を抑制し、納期・納入先が明確な注文を優先するための統一の発注様式を作成、ボルトメーカーや流通業者に活用を申し入れた。ゼネコンなどには様式に必要となる現場情報などを提供するよう呼び掛けた。

     17日の閣議後に記者会見した石井啓一国土交通相は「ボルトの需要・供給・流通の各段階の事業者は不確定要素の高い注文を避け、必要な分を必要な時期に注文するというルールを徹底するようお願いする」と説明した。

     

     ことし3月に実施した2回目の高力ボルトの需給動向に関する調査では、昨年10月に実施した前回調査より、納期、工事への影響がともに悪化した。納期は全国平均で6カ月程度から8カ月程度へ長期化し、納期遅延による工事への影響があると回答した割合は83%から86%に増加。影響が出る工事受注を取りやめているとした回答8%をあわせると、「影響あり」は94%に上る。

     

     納期の長期化を受け、需要側の15%は取り置きや発注量を増やすなどの対応を取っている。早期発注や海外メーカー(JIS規格以外)への発注範囲の拡大、工事案件ごとに供給側へ事前聞き取りを実施して、工期の検討を行うなどの取り組みも行っている。

     

     供給側は工場の24時間稼働や一部工程の外部委託など増産に取り組んでいるものの、注文に対して、56%しか供給できていない。対応状況をみると、継続取引のものや数量・取引先・納入時期が確認できるものに優先的に供給している。

     

     一方で、国交省が建築着工統計などから鉄骨の需要量を算出し、そこから高力ボルトの需要量を推定したところ、メーカー各社の生産量を合計した供給能力と大きな乖離が見られないことが分かった。推定供給能力が年間で12万tから13万tであるのに対し、年間の推定需要量は11万tから13万9000tだった。

     

     需給に大きな乖離が見られないにもかかわらず、全国的に不足状況が長期にわたって続いていることから、重複発注や水増し発注など仮需が要因であると分析した。

     

     従来、高力ボルトの流通は、商社や問屋がボルトメーカーからボルトを購入して一定の在庫を保有し、鉄骨ファブリケーターからの注文に応じて製品を卸していた。しかし、昨年夏から秋にかけて在庫が枯渇したことによって受注販売へ切り替わったころから、重複発注や水増し発注などが増加。契約残が積み上がった結果、納期が大幅に遅れている可能性が高いと結論付けた。

     

     対策として国交省が作成した標準的な発注様式は、商社や問屋がボルトメーカーに発注する際に、物件(工事)情報を記載する。重複発注や水増し発注をなくすとともに、納期・納入先が明確な注文から優先的に供給できる環境を整備する。

     

     協力要請は17日付で、▽全国建設業協会▽全国中小建設業協会▽建設産業専門団体連合会▽日本橋梁建設協会▽プレハブ建築協会▽日本建設業経営協会▽日本建設業連合会▽鉄骨建設業協会▽全国鐵構工業協会--に通知した。

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    掲載日: 2019年5月20日 | presented by 建設通信新聞

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