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  • 建設論評・2017年の変革

     2017年の建設業界は、20年東京五輪を控え大手建設会社が過去最高益を更新するなど、まさに晴れ間が続く豊かな年だった。一方で、働き方改革、人口減、高齢化による働き手の減少に見られるように、迫りくる縮小化社会に対して、いかに建設の担い手を確保するかが大きな課題となった年でもあった。

     

     そのような環境の中、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの発達により、これまで経験したことのない社会変革が訪れる予感をもたらした年でもあった。

     

     実際、AIの活用はディープラーニングなどの機械学習の機能に加えて、画像認識能力を獲得したことにより、あらゆる分野でAIの活用が進む年となった。

     

     典型は自動運転技術が明らかに到達可能な技術となってきたことだ。グーグルはアリゾナ州で自動運転車による配車サービス実験を始める。また、米半導体メーカーのエヌビディアは1秒間に500枚以上の画像分析能力を持つ半導体を開発した。この技術の応用で、18年には完全自動運転用の半導体を提供するという。いよいよ本格的な自動運転技術の実用化が進む。

     

     建設分野でも、国土交通省のi-Constructionが本格展開され、自動技術やセンサー技術、データ解析技術などにより、将来の建設現場のありようを大きく変える潮流ができた年であった。

     

     実際、熊本地震で崩落した阿蘇大橋周辺の斜面防災工事にあたって、熊谷組では無人化施工技術を導入し、自動操作でバックホウやトラックを動かして2次災害の発生を防ぎながら安全に土砂堰堤を築造し、早期復旧につなげた活動を継続している。

     

     医療分野でも、東大や国立がん研究センターではAIが数万の画像データにより学習することで、熟練医師でなければ判断が難しかったがんや脳血管疾患を見つけることに成功するなど、画像分析分野でもAIの実用化が進む。この画像技術の応用は、現場の安全対策としても使える。現場の映像を画像認識技術によりAIが判断し、あらかじめ危険個所をAIが予知するなどの技術だ。

     

     また、AIはビッグデータの解析でも優れた能力を見せている。不動産事業でも、年収や人口構成などの公開されているデータとGIS(地理情報システム)を用いて、AIに学習させることで商業施設の売上予測や需要予測などがより緻密に分析できるようになった。建設分野でも竹中工務店は、ビル内の電力、照明、温度、湿度、入退室等ビルの膨大な管理データを収集しAIに分析させることで、オフィスの生産性向上につなげる試みを始めた。将来的には単独ビルの分析にとどまらず、都市的な大きさの分析にまで広げようとするものだ。

     

     このように17年はAI、IoTが本格的に動き出し、多くの知識や情報がデータで共有され、それらが社会に役立つ『Society5.0』の実用化に向けて進みだした年だ。オリンピックイヤーに向けて建設業も大きく生産技術が変わる時代を迎える。これからも関係者の変革へ向けた努力に、大いに期待したい。 (隆)

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    掲載日: 2017年12月15日 | presented by 建設通信新聞

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