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  • 海外受注 1兆9375億/日系、公共事業頼み転換

    【現法受注 2社で7割超/受注全体 4社で6割超/上位企業シェア高まる/海外戦略 多様化と徹底化鮮明】

     

     海外受注額が堅調に推移し、2018年度の受注額は2兆円をうかがう1兆9375億円に達した。建設企業の海外受注額が過去には、好調の目安とされてきた1兆円台から2兆円近くにまで拡大したのは、一部の企業による多様で徹底した海外市場の取り込みが大きな要因となっている。その結果、海外受注額を押し上げたこれら企業の海外受注額に占めるシェアはさらに高まる形となっている。

     

     海外建設協会(蓮輪賢治会長、会員50社)がまとめた「2018年度会員企業海外建設受注」は、過去最高額を更新する1兆9375億円となった。過去最高額更新のけん引役は、前年度比18.7%増と2桁の増加で1兆2324億円まで拡大した「現地法人」受注だ。本邦法人自ら、国内市場が低迷していればその分を補う形で、ODA(政府開発援助)などを中心に海外市場を取り込むという過去の海外受注構造は完全に崩れている。

     

     年間受注額で1兆円台を割り込んだリーマン・ショック以降の海外受注トレンドは、▽従来の主力だった本邦法人受注▽積極的なM&A(企業の合併・買収)などを含めた現地法人(現法)受注--の2つに分かれる。

     

     その中で、主力の本邦法人受注と肩を並べるまでに受注規模が拡大した現法受注が海外受注のトレンドとして鮮明になった転換点は、初めて現法受注額が1兆円を突破し1兆0355億円を記録、受注最大の柱だった本邦法人受注が7799億円にとどまった14年度だ。14年度はさらに、本邦と現法の受注額が逆転しただけでなく、最大の受注先が日系企業や現地公共発注者ではなく現地企業に変わった。

     

     14年度以降の海外受注額や受注構造変化を実際にけん引しているのは、▽鹿島(5017億円)▽大林組(4475億円)▽五洋建設(1641億円)▽清水建設(1385億円)--の4社(18年度連結海外受注高順、五洋建設は個別)だ。また4社の海外受注構造は「主力は本邦法人受注」「主力は現法受注」という2つの海外受注トレンドを鮮明に体現している。

     

     具体的には、18年度通期の海外受注高で現法受注がすべてもしくは大半を占める鹿島と大林組の2社の連結海外受注高から個別(単体)海外受注額を除いた現法受注額は、海建協現法受注額全体の75.3%に上る。転換点だった14年度の両社の海建協現法受注額に占める割合(連結海外受注額から単体海外受注額を除く)は64.5%。2社の現法受注は4年で10ポイントシェアが上昇したことになる。

     

     一方、受注高の大半を本邦法人が占める五洋建設と清水建設の場合、五洋建設が国内土木・国内建築と海外という主要3事業のうち、海外の受注や売上高が全体の3分の1を占めるバランスの取れた構成が近年続いている。五洋建設は既に海外事業の司令塔を15年に日本からシンガポールに移すなど、本邦・現法という枠を超えたグローバル化に着手した。また本邦法人が受注の柱となっている清水建設も、アジアを中心に堅調かつ持続的に海外受注を積み重ねている。

     

     海外受注戦略が微妙に異なるこれら4社の18年度海外受注合計額(1兆2518億円)が海建協会員企業受注総額に占める割合は、64.6%と依然として高い割合を保っている。

     

     これまで海外受注の位置付けは、海外担当者にとって「建設企業トップは主戦場である国内市場の補完的役割としかとらえていなかった。だから受注増と赤字を繰り返してきた」という受け止め方が主流だった。

     

     ただ近年は、人口減少下での日本国内市場の動向について冷静に分析する傾向の中で、海外受注を建設企業の成長の柱として明確に位置付け、具体的に対応するケースが増え始めていた。

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    掲載日: 2019年5月29日 | presented by 建設通信新聞

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