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技術裏表・駒井ハルテック
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【工場製作から効果検証/橋梁工事にCIM活用】
駒井ハルテックは、鋼橋工事での生産性向上を図るため、国土交通省九州地方整備局発注の「福岡208号大川高架橋上部工(A1-P4)工事」(福岡県大川市)を試行現場としてICT技術の導入・検証を進めている。同社の平見勝洋ICT推進室担当兼ICT推進室長は「これまで“製作BIM/CIM”として鉄骨と橋桁製品の製造工程で作成していた3次元モデルを、現場管理などで有効活用していかなければもったいないという思いがあった」と語り、今後の展開に意欲を示した。◆従来工法と並行して展開
同社は、2017年4月から開始した中期経営計画に合わせてICT推進室を立ち上げ、工場のレイアウト再編、中長期の生産設備計画(自動化・省力化)で生産体制を強化するとともに、橋梁、鉄骨、環境の3事業部門についてそれぞれ現場でのBIM/CIMの活用を図ってきた。CIM活用という時代の流れに合わせ今回、橋梁工事でも導入に至った。
活用現場のある有明海沿岸道路は、三池港、九州佐賀国際空港など広域交通拠点へのアクセス性向上を目的とした道路として地域の発展を支援し、さらには国道208号の交通混雑の緩和や生活の利便性向上にも寄与している。
工事は大川市三丸地内で高架橋の橋桁を設置する。現場の両側は地域の幹線道路である国道208号と県道716号水田大川線が供用中であり、安全面に十分配慮した架設計画が求められている。
現場では、千代田測器(東京都台東区、平野啓太郎社長)の支援のもと、工場の仮組み立てで、オートデスクの「BIM360」、トプコンの自動追尾型測量機「LN-100」を初めて導入した。さらに、現場架設完了時の出来形測量にも導入予定である。まず、工事受注後に、発注図面からCIMモデルを作成し、さまざまな角度から主構造と付属物の取り合いを確認することで、設計照査の効率化を図った。工場では、仮組立時に現場施工となる付属物の3Dモデルを橋桁に重ね合わせて表示することで、事前に不具合が出ないように検証した。
その後、現地で、3Dレーザースキャナーを利用して現況を点群データ化。架設4Dシミュレーションモデルに統合し、関係者間協議で安全性、品質向上に活用する。工場製作の段階からICT技術導入の効果を検証し、現場でも実証を重ねることで精度の高さを裏付けたい考えだ。
また、3次元モデルを施工管理に活用し、BIM360とLN-100による出来形計測を組み合わせ、橋桁のたわみの計測などクラウドを介してリアルタイムで実施する。従来なら2人1組の作業を1人で行えるようにすることで、作業を効率化する。さらに、これまでは帳票に書いたデータを事務所に戻り、再度計算し清書していたが、クラウドにより書類作成業務が大幅に削減できるという。
同現場の吉田恵子現場代理人は「4月に和歌山工場で実施した仮組立検査の際に立ち会ったが、作業はとても簡単にできた。実際の現場において、導入の効果を体感するのが楽しみだ」と期待を寄せる。
ことし5月から現場架設に着手し、10月の竣工予定となっている。期間中に、中高生を対象に現場見学会の開催も予定している。鋼構造専門メーカーの仕事やICT施工の一端を知ってもらうことで、将来の担い手確保にもつなげようと企画している。
同社では人材育成の一環として、若手職員の部署移動を積極的に行っている。吉田現場代理人は「現場でさまざまな指導を受けながら、ICT技術などを活用して作業員の働きやすい環境を整備していきたい」と見据える。
平見氏は「改良中のシステムだからこそ、まずは現場で使ってみる」と強調したうえで「今回の現場以外でも従来工法と並行して精度を確認しながら、本格的に展開していきたい」と力を込める。
残り50%掲載日: 2019年6月7日 | presented by 建設通信新聞