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  • 建設論評・令和に直面する課題

     令和の御世(みよ)になり、気分的には大きな時代の区切りを感じる。令和元年5月1日には、中央エフエム(東京都中央区の地域コミュニティーFMラジオ局)で『ドボクのラジオ』も始まり、新しい時代を感じる今日このごろだ。

     

     令和とは、「令」を「うるわしい」と読んだ上で「令(うるわ)しく平和を築く」こと。本当に平和で、美しい時代にしたいものだ。

     

     しかし日本の足元を見つめると、令和時代に直面するであろう3つの大きな課題が待ち構える。

     

     1つ目の課題は「高齢化」だ。2025年には団塊の世代が75歳以上となり、65歳以上の高齢化率は上昇を続け、36年には3人に1人が高齢者となる。53年になると日本の人口が1億人を割り込み、65年には4人に1人が75歳以上になると推計されている。医療費の増大、入院治療の短縮化、老老介護の増加、現役世代の年金負担の増額など、高齢化社会の抱える課題がより一層重くのしかかる。

     

     2つ目の課題は、「空き家」の増加だ。総務省の住宅・土地統計調査によると、昨年(18年)10月時点で首都圏(1都3県)でも約200万戸の空き家が存在している。全国では846万戸の空き家が発生し、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%と過去最高となっている。タワーマンションも例外ではない。タワーマンションの大きな問題は、修繕費用が一般個人住宅の3-5倍かかることだ。この問題が令和に入ると一気に吹き出してくる。

     

     3つ目の課題は、「働き方の多様化」だ。経団連の通年採用に見られるように、転職など雇用の流動性がさらに進むことが予想される。1人で複数の会社の業務をこなすような自由な働き方や、転職により人材育成・人材確保などがいまよりもより一層難しくなる。また、AI(人工知能)、IT、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の技術進化が、さらに複雑で多様な働き方を推し進める。

     

     これらの問題を解決する方法はないのだろうか。

     

     「高齢化」と「空き家」と「働き方多様化」を結びつけるヒントが、松戸市にある。

     

     東京郊外のベッドタウンであった千葉県松戸市。住民が高齢化するとともに「空き家」も多くなり、賃貸住宅の需給バランスの崩れから家賃も安くなった。しかし多くの「空き家」の発生により、模様替えや間取りを自由に改修し、かつ安価に入居できる環境が整ったため、「地域の小商い拠点」として見直されている、とのニュースがNHKで報道された。

     

     「空き家」を使って副業ビジネスをしたり、高齢者の持つ経験と知識を教える機会と場所が得られたりすることで暗黙知を形式知化でき、スペースも、若者も、高齢者も、新たな働き方を見いだすことができる。

     

     世の中、高齢者は増え、空き家は増加する、仕事は流動化する、しかし起業が日本を救う。

     

     少子高齢化、人口減少、あらゆる施設が余る時代、空き家も含めたこれらの施設の有効活用により、日本の経済成長につながる活動へと発展することを大いに期待したいものだ。(隆)

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    掲載日: 2019年6月7日 | presented by 建設通信新聞

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