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  • 建設論評・峠を越えた建設業

     先月下旬、某経済紙に「建設はや『五輪後』の秋風」という記事が載った。その趣旨はご想像のとおり、このところ東京五輪を軸に強気であった建設業界の受注が前年比減少に転じているというものだ。少し前までは東京五輪の後も受注は落ちないという強気の見方があったものの、やはりそうはいきそうもない。

     

     大体、こういう記事が大きく出ることは、その内容も勿論ながら、記事の出たことによる影響も大きい。すなわち、建設業界にとって有利に働いていた環境が逆転したという認識が一挙に広まり、発注者側は強気になり受注する側は受け身になっていく。

     

     建設業のうち、これからもずっと強気の見通しでいたところは、急いで対応を改めなくてはなるまい。すなわち、受注計画、工事施工計画、人員計画、設備投資計画など、あらゆる計画が受注減による影響を受けるであろう。建設業は業者の数も多いが、環境の影響により同じ方向を向く体質は変わらない。いままでの好況にしても環境のおかげでその恩恵をみんなが受けてきたもので、個々の努力の実った結果とは言い難い。

     

     さて、そこで改めてこれからどうするか。まず第1にするべきことは、いまの建設環境を改めて虚心に見詰めること。第2には自分たちの持つ能力、資源をきちんと棚卸しすること。第3には、建設同業者の動向を鋭く分析すること。そして第4には今後の経営戦略を改めて立てること。殊に、これまでの好況期をどのように過ごしてきたか、その差が今後明らかに分かるであろう。不況期に備えてどれだけの手を打ってきたのか、何と何をやってきたのか、やってこなかったのか。例えば新しい分野を開拓しようとしてきたとしよう。それは成功したのか、本当に使い物になる分野に育ったのか、あるいは、もう一歩のところまできているのか。それとも駄目だったのか。また、人材採用はどうだったのか、十分質量とも満たされたのか、もう少し不足だったのか、あるいは採り過ぎたのか。殊にこれから必要なIT、AI(人工知能)分野の人材は確保できたのか。職人はどうか。協力会社も含めて確保できたのか、あるいは今後はスリムにすることが必要ではないのか。海外はどうか。海外は、自他の文化の違いを超えて、対等に仕事ができるようになったのか、それともやはり国内に重点を置くべきなのか。建設業の課題は相変わらずと言うと申し訳ないようだ。

     

     まったく別の観点から、事業を手放そうとする動きが増えている。この厳しい環境の中、適当な事業の承継者が居ない。従業員のことを考えると適当な条件で良い相手に譲りたい。また、これを仲介する業者も活発になっている。ウェブ上で該当する企業を募集しているなど、かつては考えられなかったことだ。時代が変わったとしか言いようがない。もし仲介業者を必要とするなら、ぜひ誠実な業者を選ぶようお勧めする。(三)

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    掲載日: 2019年6月11日 | presented by 建設通信新聞

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