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建築へ/官民一体の「建築BIM推進会議」が始動/建築界が描く将来像は
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のデータを建築物の設計、施工、維持管理の各段階で一貫活用しようと、官民による検討が始まった。国土交通省は官民一体でBIM活用を推進し、建設物の生産・維持管理プロセスの生産性向上を図るため「建築BIM推進会議」を設置した。一貫したBIMデータの活用が一般化し、人工知能(AI)など先進技術と密接に融合する。建築界はBIM活用の将来像をどう描くのだろうか。
政府は2017年12月に決定した「新しい経済政策パッケージ」で、建設分野の制度改革として3Dデータの活用などを位置付けた。18年6月に決定した「未来投資戦略2018」には建築関係手続きのオンラインによる簡素化や、民間発注を含む建築工事全体でのBIM普及に向けた方策の検討などが盛り込まれている。
建築分野でBIMを活用する場合、現時点では設計や施工など各段階の個別活用にとどまるケースが多い。BIMの特徴である情報の一貫性が確保できておらず、維持管理段階までつながる体制は未整備といえる。導入と運用には多額の設備投資が必要な上、BIMを習熟した人材が不足していることも課題になっている。
国交省は建築分野の生産性向上に向け、官民一体によるBIMの推進体制を構築する。「BIM/CIM推進委員会」の下部組織で具体的な検討を行うワーキンググループ(WG)の一つとして、4月に建築BIM推進会議を新設した。
推進会議には学識者や建築分野の設計、審査者・特定行政庁、施工、維持管理、発注者、調査研究、情報システム・国際標準に関わる団体が参画。国交省からは官房の技術調査課と官庁営繕部、土地・建設産業局の建設業課と不動産業課、住宅局建築指導課が参画している。
13日に東京都内で初会合が開催された。国交省がまとめたBIMの活用状況をみると、設計分野はBIMの活用が限定的なものの、導入に興味を持つ建築士事務所が多かった。一方、施工分野は大手ゼネコンを中心にBIMが相当活用されているが、中小建設会社ではほとんど使われていないという。
推進会議は6~8月の3カ月間を「初動・集中検討期間」と位置付け、3回程度の会合を開催する。設計、施工、維持管理の各分野で進んでいるBIM活用の検討状況を共有。BIMを活用した建築物の生産・維持管理プロセスや、BIMの活用による将来像を検討する。8月までに将来像と実現の工程表(案)を策定する。
下期から個別課題に対応する部会を設置し検討を深める。19年度末に開催予定の推進会議で、部会の検討結果や関係団体の活動状況を共有。将来像と工程表の更新も議題にする予定だ。
推進会議は分野を横断したメンバーが集まる貴重な場となる。国交省では建築分野にBIMが根付くまでこの会議を続ける。
2DのCADは紙ベースだった図面などを電子化しただけだが、BIMは3Dの形状情報と建物の属性情報を併せ持つ情報モデルを構築するシステムだ。BIMが定着し利用範囲が広がれば、根本的な変革が起きるだろう。推進会議ではBIMの活用に向けた市場環境の整備も視野に入れている。
ある建築家が09年を日本での「BIM元年」と位置付けてから今年で10年。本格普及に向け国も本腰を入れ始めた。官民の垣根を越え利用が急拡大すれば、建築分野のビジネスモデルも大きく変わるだろう。
建築BIM推進会議の委員は次の通り。敬称略。
【学識経験者】松村秀一(東京大学、委員長)▽蟹澤宏剛(芝浦工業大学)▽志手一哉(同)▽清家剛(東京大学)▽安田幸一(東京工業大学)
【設計関係団体】大石佳知(日本建築士会連合会)▽佐野吉彦(日本建築士事務所協会連合会)▽岡本尚俊(日本建築家協会)▽山野祐司(日本建築構造技術者協会)▽婦木徹(日本設備設計事務所協会連合会)▽森谷靖彦(日本建築積算協会)
【審査者・特定行政庁】青柳一彦(日本建築行政会議)▽香山幹(日本建築センター)
【施工関係団体】曽根巨充(日本建設業連合会)▽木村暁彦(全国建設業協会)▽三村陽一(日本電設工業協会)▽入部真武(日本空調衛生工事業協会)
【維持管理・発注者関係団体等】伊藤久晴(住宅生産団体連合会)▽猪里孝司(日本ファシリティマネジメント協会)▽奥田修一(建築保全センター)▽篠島裕明(不動産協会)
【調査・研究団体】片山耕治(国土技術政策総合研究所)▽高橋暁(建築研究所)▽武藤正樹(同)▽山下純一(buildingSMART Japan)▽渡辺俊(日本建築学会)
【情報システム・国際標準関係団体】尾澤卓思(日本建設情報総合センター)▽西野加奈子(建築・住宅国際機構)
【オブザーバー(国土交通省)】那須大輔(官房技術調査課)▽吉野裕宏(官房官庁営繕部整備課)▽飯沼宏規(土地・建設産業局不動産業課)▽高橋謙司(土地・建設産業局建設業課)▽松井康治(住宅局住宅生産課)▽淡野博久(住宅局建築指導課)
【事務局(国土交通省)】官房官庁営繕部整備課▽土地・建設産業局建設業課▽住宅局建築指導課。
残り50%掲載日: 2019年6月21日 | presented by 日刊建設工業新聞