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  • 佐藤工業/トンネル発破音を低減/車のマフラー技術応用

     佐藤工業は、東海大学工学部動力機械工学科の森下達哉教授と共同で、自動車のマフラーに使われる技術を応用した「トンネル発破音の新型消音装置に関する設計技術」を開発した。広帯域の発破音に効果がある。今後、実物大規模の実証実験を経て現場適用を目指す。

     

     トンネル発破音は、低周波帯域の音を含む上、音圧レベルも大きく、防音壁、吸音材・遮音材では低減が難しい。開閉式の防音扉を設置することが多いものの、低周波帯域の遮音量が十分ではなく、発破のたびに重い扉の開閉が必要で、ベルトコンベヤーを使うトンネル工事では採用できなかった。近年は、音の逆位相の音を重ねて消音するアクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)を採用する考え方があるものの、発破音と同等の大きさ・周波数の音をスピーカーから発する必要があり、実用化は難しい。単一の周波数の音だけを消音するヘルムホルツ共鳴器の原理を応用した低減技術も検討されているものの、単一の周波数帯域にしか効果がなく、発破音を低減するには共鳴周波数を変えた多数のユニットを製作・設置する必要がある。

     

     今回開発した新型消音装置は、自動車のマフラー(排気管サイレンサー)などで採用されてきた管路系消音技術を応用した。トンネル坑道を管とみなし、マフラーなどでは管に外付けされるサイレンサーをトンネル内に設置する。トンネルの軸方向に隔壁と呼ばれる垂直な壁と、 挿入管と呼ばれる内管を設置したものを基本とし、 消音周波数特性を調整するための設計技術や消音効果を定量的に把握する理論式などを整備し、有効な設計技術として確立した。 設置する挿入管は開いたままで発破でき、開口部が必要なベルトコンベヤーを使う工事にも使用できる。 隔壁は、トンネル内装工事用の移動台車やセントルを設置することで、多様な形態で設置できる。

     

     既に設計技術の妥当性を小型模型トンネルで確認し、施工上の問題も解決してきた。隔壁を施工する際にトンネル地山との境界部で発生するすき間が消音効果に与える影響も、FDTDによる解析で把握した。

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    掲載日: 2019年6月21日 | presented by 建設通信新聞

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