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新・担い手3法/建設業どう変わる/発注者名公表で実効性/建設企業も規定抵触で処分
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>建設業のルールが大きく変わる。建設業界にとって今国会の最重要法案となった建設業法・入札契約適正化法(入契法)と、公共工事品質確保促進法(品確法)の改正法が成立し、「新・担い手3法」の制定に至った。働き方改革や生産性向上、災害への対応など建設業を取り巻く課題に対応した制度改善が図られることになるが、建設企業やそこで働く労働者、あるいは発注者にはどういった影響が出るのか。法改正で何が起こるのか今後の動きをまとめた。
◆著しい短工期の請負契約禁止
建設業の働き方改革を進める上で、大きな障害となってきたのは工期の壁だ。十分な工期が確保されないことで、休日取得の妨げや長時間に及ぶ残業につながる。そこで、改正建設業法では、著しく短い工期での契約締結を禁止する規定を新設した。
工事の発注者に対しては、勧告制度を設ける。著しく短い工期での請負契約を締結した発注者に対しては国土交通相または都道府県知事が必要な勧告を行うことができる。勧告に従わない場合はその発注者を公表することで、確実な改善を促す。
著しく短い工期の禁止規定は、工事を発注する企業だけでなく元下間や下下間など建設企業にも適用となる。建設企業の違反に対しては、発注者に適用する勧告規定でなく、現行の監督処分を適用する。悪質な場合は営業停止となるなどこちらも実効性を持たせた規定措置だ。
◆適正工期・平準化は発注者責務
公共工事については、適切な工期設定と施工時期の平準化を発注者の責務として規定し、そのための措置を努力義務化した。今回、法的な後ろ盾ができたことで、自治体は債務負担行為の活用などで財務部局や議会の承認を得やすくなる。取り組み状況の見える化も図ることで、適切な運用を促していく。
◆監理・主任技術者の配置要件緩和
現行の請負金額が3500万円(建築一式は7000万円)以上の工事については、現場ごとに監理技術者の専任が必要という規定を改め、一定の実務経験と知識を持つ「技士補」を専任で配置することで複数現場の兼務を可能とする。新設する技士補は技術検定試験を再編し、その第1次検定の合格者に付与することを想定する。
主任技術者の配置要件の合理化も施す。例えば、1次下請けが1年以上の指導監督的な実務経験を持つ主任技術者を専任で配置する場合に、下位下請け(2次下請け)の主任技術者の配置を不要とすることができる「専門工事一括管理施工制度」を創設。
施工技術が画一的で、技術上の管理の効率化を図る必要がある工種(一式以外の一定の金額未満の下請工事)に限って、1次下請けが注文者(元請ゼネコン)の承諾と下位下請け(2次下請け)の合意を得た場合に活用できる。
◆建設業許可を見直し、合理化
建設業許可については「社保加入」「経営管理責任体制」「事業継承」の3点について見直した。下請けの建設企業含め社会保険加入を徹底させるため、社会保険の未加入企業に許可・更新を認めない仕組みを設ける。
経営の安定性の観点から求めていた「建設業経営に関し5年以上の経験者が役員にいること」の規定は廃止する。事業者全体として適切な経営体制(経営能力)があるかどうかを判断する。合併や事業譲渡などで新たに許可を取り直すことなく、円滑に事業承継できる仕組みも構築する。事前認可の手続きをすることで、合併登記日または合併契約の効力が発生する日から新会社の許可を有効とする。個人事業主の継承についても同様の規定を整備する。
◆協定など災害時の緊急対応強化
近年、相次いでいる大規模な災害に備え、発注者と建設業者団体の双方に災害協定の締結など新たな責務を課す。発注者には改正品確法において、緊急性に応じた随意契約、指名競争入札などの適切な選択や労災補償に必要な費用の予定価格への反映、見積もり徴集の活用を求める。
建設業者団体には建設業法で、復旧工事の施工業者と自治体などとの連絡調整、資機材や建設機械の調達に関する調整など必要な措置の実施を努力義務化した。
改正品確法は14日に公布され、同日施行された。建設業法と入札契約適正化法(入契法)の改正法は、2020年秋(技術検定の見直しは21年春)から施行する。
残り50%掲載日: 2019年6月27日 | presented by 建設通信新聞