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  • 技術裏表・日本建築センター×竹中工務店座談会

    【BIMとMRで中間・完了検査実現】

     

     日本建築センターと竹中工務店は、BIMとMR(複合現実)を活用した中間検査と完了検査を実施した。竹中工務店とメルセデス・ベンツ日本がモビリティーとリビングの近未来を表現した共同プロジェクト「EQ House」(東京都港区)で国内で初めて取り組み、先進的な検査手法を実現した。竹中工務店東京本店の花岡郁哉設計部設計第2部門設計4グループ長、吉田徹設計部設備部門設備11グループ主任、諏訪薗裕子設計部申請グループ課長、日本建築センターの中村勝確認検査部構造審査課長、杉安由香里確認検査部設備審査課主査に話しを聞いた。◆目線を合わせデータ造り込む/求められる監理ツールの標準化

     

    --今回の取り組みを振り返って

     

     花岡 情報を分かりやすく共有することで、作業の効率化に大幅に寄与すると感じた。ヘッドマウントディスプレーで実物とBIMモデルを重ね合わせたデータを検査者と受審者が同時に確認できた。現場内のディスプレーにも表示することで、一度に多くの情報を共有できた。

     

     吉田 実物だけではなく機能を可視化できる点が大きい。配管の色分けなどを素早く合理的にできれば、今後の助けになる。

     

     中村 単にBIMを活用しただけではなくMRという新たな技術に取り組んだことは、検査側としても効率に寄与したと感じた。

     

     杉安 監理値や監理記録も表示されていたことが分かりやすく有効だった。検査者としては確かさが向上し、的確性の向上にもつながった。

     

     諏訪薗 補助線などを検査の時に有効に利用できると分かれば、BIMで確認申請をする場合も補助線を使うことが無駄にならない。一気通貫のデータ蓄積の意義が出てくる。

     

     花岡 今回のMRはBIMデータをどのように共有するかという点に着目している。目的に合わせてどのように見るか、どのようにデータを整理して共有するかを常に意識し、工夫することで効率化を図ることができる。

     

     吉田 BIMの情報の重要度は人や立場によって優先度が異なる。その時に応じてお互いに話し合って、優先順位を付けながらデータをつくりあげる作業が必要となる。

     

     諏訪薗 書類のデータもMRを見ながら抜き出せたら効率化につながる。可能性は見出せたと思う。

     

     中村 今回は検査した個所もクラウドを利用して記録を残した。大規模な現場の検査は複数人で分担するが、どこまで検査したかを即時に把握できず、重複する可能性もある。検査した個所を情報として共有することにも活用できる。

     

     杉安 現場での質疑は、写真や紙図面の記録のみでは分かりにくい場合がある。BIMモデルと併せて記録し、瞬時に共有できると分かりやすくなり検査の効率化にもつながると思う。

     

     花岡 そのような技術は施工者や監理者にとっても有効なツールとなる。現場管理や設計監理のツールが、そのまま法定の検査にも活用できるとお互いに良い。

     

     中村 確認の図面の標準化だけではなく、監理ツールの標準化も求められる。

     

     諏訪薗 施工結果報告書のフォーマットはほぼ同じなので、そこにみんなが向かっていくような監理ツールになれば。

     

    --浮かび上がった課題について

     

     花岡 BIMのデータを何に、どう使うかを、プロジェクトの初期段階で考える必要がある。プロジェクトの特性と実務を熟知する人が最初の段階で見極めなければならない。複数のソフト間の連携やデータのやりとりの形式、タイミングなど、情報の流れをデザインする必要がある。

     

     中村 確認から完了までBIMのデータが一貫していることを検査側が確認できなければならない。そのためにも情報共有の仕方が必要となる。

     

     吉田 今回は小規模な建物なので、確認申請図も施工図も同じ縮尺の図面で複線や3次元で表現することができた。大規模建物だと図面の縮尺も変わってくるため、まったく同じような複線の表現では分かりにくくなってしまう可能性もある。お互いに何を重要視するか目線を合わせた上で、見やすい図面・データを効率よく造り込む必要がある。

     

     杉安 施工者や設計者にとっては重要だが、確認の審査と検査では必要でない情報もある。その仕分けがお互いの効率化につながる。

     

    --今後のBIMの活用について

     

     諏訪薗 社内で普及するためには社内のルール化が必要。他の審査機関とも同様に円滑に行うためには全体的なルール化も必要となる。

     

     吉田 これまでモデルをつくり込むことが主体だったが、今後は情報をどう活用するかという点になる。将来の活用を見据えたデータの入力方法や整理の仕方をいまからきちんと考えておくことが重要だ。

     

     中村 BIMの情報の何をどう審査と検査に活用できるかという点の標準化が将来は必要になる。多大な情報は非効率にもつながりかねず、情報の整理が求められる。

     

     杉安 技術の発展によりBIMの活用の幅は広がると思う。審査・検査側も、申請者のニーズに合わせた対応ができるようにならなければならない。

     

     花岡 BIMは業界全体で取り組む必要がある。各社のノウハウや技術的な発展を担保しながら、標準化する範囲などを業界全体で慎重に議論した上で活用することが望ましい。

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    掲載日: 2019年6月28日 | presented by 建設通信新聞

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