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  • 連載・CIMの道筋/設計者の挑戦(6)

    【事業部門が先頭に立ち実践/復建調査設計/コーディネーター育てる】

     

     復建調査設計は、2019年度から事業推進本部に置くBIM/CIM推進室の役割を変更した。亀田雄二室長は「われわれはサポートに徹し、各事業部門が先頭に立ち実践する流れを定着していきたい」と先を見据える。これまでは推進室が主体となってモデル作成を担っていた。BIM/CIM関連業務が拡大傾向にある中で「最前線の事業部門が主体的に動くことが本当の意味の組織力につながる」との判断からだ。

     

     同社がCIMと向き合い始めたのは13年。中国地方整備局広島国道事務所発注の道路設計業務で3次元設計に取り組んだのがきっかけとなった。いずれCIMの時代が来ると、小田秀樹社長が3次元CADを標準化する目標を打ち出し、同年12月に組織横断のCIM推進委員会と推進室を立ち上げ、14年には高性能3次元プリンターも購入し、環境整備を推し進めた。

     

     推進室は、業務支援や情報収集・共有に加え、社内教育も担ってきた。1カ月を費やす新入社員の集合研修は6年目を迎え、ことしは技術系新入社員19人とともにグループ会社など総勢25人が参加した。標準ソフトに位置付けるオートデスクのBIM/CIMツールを修得させるとともに、3次元設計のポイントなどもたたき込む。

     

     これとは別に、各部門の若手推進役で構成するCIM推進ワーキングのメンバーが先生役となる教育も展開。当初は2次元を3次元化するモデリングの教育が主体だったが、ことしから業務効率を前提に3次元シミュレーションなど検討の視点をより強める方針にシフトした。業務を通じて施工段階や維持管理を意識させたい狙いもある。

     

     中でも道路と構造の2部門は3次元への対応が進んでいるが、環境や計画系などの部門も見える化の視点などを軸に、BIM/CIMに触れる機会をつくるようにしている。特に若手の3次元意識は着実に根付き、最新ツールを活用して少しでも業務を効率化していきたいという意識も芽生えている。亀田氏は「モデラーを育てるつもりはなく、3次元を使って検討ができるコーディネーターを育てたい」と考えている。

     

     近年は業務も増加傾向にあり、18年度は国土交通省直轄事業の指定業務1件と希望業務3件とともに、山口県周南市の跨線橋架け替え業務で施工シミュレーションなどにも取り組んだ。指定業務では発注者との打ち合わせに毎回モデルを持ち込み、密な情報共有を実現した。

     

     跨線橋架け替え業務では、現橋梁の下に16本もの線路があり、住宅地にも隣接しているため、施工時には作業ヤードが確保しにくい。同社は現橋梁と計画橋梁を3次元データ化し、撤去や新設の工事が周辺環境にもたらす影響を検討・評価した上で、作成した3次元モデル、動画、3次元模型を関係者との協議や地元住民説明会で使い、合意形成にも大いに役立てた。

     

     亀田氏は「まだ十分に組織全体に広がっているとはいえないが、導入当時に社長の方針があったからこそ、ここまで来ることができた。わが社のBIM/CIMを背負って立つ人材を少しでも多く育てていきたい」と力を込める。

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    掲載日: 2019年7月22日 | presented by 建設通信新聞

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