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  • そこが聞きたい・三信建設工業社長 山崎淳一氏

    【タイ現法設立から1年 状況は?/地下鉄地盤改良を受注、現地化がカギ】

     

     三信建設工業がタイ・バンコクに現地法人 「SANSHIN CONSTRUCTION(THAILAND)CO.,LTD.」を設立し、本格稼働してから約1年が経過した。当面の狙いだったバンコク市内の地下鉄新設工事に関連する地盤改良工事を現地大手ゼネコンから受注でき、順調に施工を進めている。山崎淳一社長にこれまでの経緯と今後の海外展開の方針を聞いた。

     

     タイの現地法人は、同社が49%を出資する形で4月に設立した。「バンコク市内でMRTA(タイ高速度交通公社)が整備を進めている地下鉄のうち、東西に走るオレンジラインの工事を受注するために設立した」と経緯を説明する。オレンジラインの東側部分の駅と立坑の地盤改良工事で、2018年9月に現地大手ゼネコンの「チョーカンチャン」から受注し、同年10月から施工を開始した。

     

     今回の工事受注には伏線がある。5年前に施工位置が深く、地下水位が高い地下鉄工事で、同じ現地大手ゼネコンが地盤改良技術を探していた中で、「技術を認めてもらい、採用された」。日系以外の会社からの仕事だったので慎重に検討して受注に至ったが、「掘削底盤部の止水・強化とシールド発進部分の地盤改良でジェットグラウトと薬液注入を無事やり遂げられた」という経緯があり、今回はその実績が評価されたリピートオーダーだ。

     

     現在、「施工は順調に進んでおり、月々の出来高も平均して高い」という状況だ。協力会社には、同社が25年以上の実績を持つ台湾の専門工事業者を採用している。

     

     今後のタイでの事業展開の課題は、「いまの工事に対応するための人員数でスタートし、大きな組織にしていないので、現地化が十分できていない」という点だ。技術者・技能者の育成がポイントで、「6月には現地法人として大卒を2人採用した」と着実に歩みを進めている。「まずは施工管理のスキルを身に着けてもらい、ゆくゆくはマネジメントを担う幹部社員にまで育てられれば」と見据える。

     

     受注活動については、「まず次の地下鉄工事の受注を目指す。現地の同業企業もあるので、コスト競争にならないよう、難易度の高い工事に絞って技術を認めてもらえる工事で受注を目指すことになる」と話す。タイは都市化が進み、地盤改良技術に対するニーズも高まっており、「この先10年程度は、タイ国内で大きなプロジェクトがあると認識しており、チャンスはある。情報収集は進めたい。そのうちに現地法人の現地化を進められれば」という考えだ。ただ、「将来的な状況次第だが、無理な拡大は考えていない」と慎重姿勢も崩さない。現地の協力会社を確保する必要性も感じているが、「当社が工事に関わらなくても、当社の技術を提供してフィーを得るような形でパートナーを広げるのが現実的ではないか」とする。

     

     東南アジア全体への事業展開については、「地盤改良は、都市が出来上がってからも必要になる技術だ。各国の発展スピードが違うので、タイで実績ができれば、次の国へと展開できるのではないか」とみており、「当社の技術が必要とされるなら、発展への貢献という観点で積極的に活動したい」と語る。「ただ収益を上げるためだけではなく、当社の技術というブランドが認知され、各国に広がれば」という姿勢で挑む。

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    掲載日: 2019年7月24日 | presented by 建設通信新聞

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