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  • NEDOら8者/100度以下の低温廃熱利用蓄熱システム/本格実証試験を開始

    【オフライン熱輸送と定置型】

     

     新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と高砂熱学工業、石原産業、東京電力エナジーパートナー、森松工業、日野自動車、産業技術総合研究所、東京都羽村市の8者は、セ氏100度以下の低温廃熱を利用可能な蓄熱材約12tを使った蓄熱システムの本格実証試験を今月から始めた。実証では、「オフライン熱輸送型」と「定置型」の蓄熱システムを検証する。季節ごとの実証データを取得しながら2020年2月まで実証試験を実施。各種熱利用先での経済性、運用性などを含めたシステム評価を行った上で、コージェネレーションシステム(CGS)の廃熱や工場廃熱を、除湿・暖房・乾燥工程などへ適用する熱利用システムの技術を確立し、市場への展開を目指す。

     

     実証試験で使う蓄熱材は、産総研が08年に開発したセ氏80-120度程度の低温廃熱を蓄熱できる無機系吸放湿材「ハスクレイ」をベースに高性能化・高耐久化したもので、従来型の潜熱蓄熱材と比べ、体積当たりで2倍以上の蓄熱が可能という。

     

     オフライン熱輸送型の実証試験は、日野自動車羽村工場周辺で実施する。同社羽村工場の天然ガスCGS設備を蓄熱サイトとし、セ氏100度以上の排ガスと同88度の「ジャケット温水」から熱を回収し、蓄熱材に蓄熱する。放熱サイトは、羽村市スイミングセンターと同社羽村工場内産業空調設備の2カ所。

     

     スイミングセンターでは、プールを温めるための熱源として放熱し、ボイラー燃料の消費量を削減する。産業空調設備では、蓄熱材から高温低湿空気を製造して、空調機の冷水と蒸気の消費量を減らす。蓄熱材の輸送は、羽村工場のCGS設備から約2㎞離れたスイミングセンターに5.5tの大型トレーラーで、羽村工場内の産業空調設備には、2.2tの小型運搬車2台によって輸送するシステムを使う。

     

     実証データを取得して、熱効率や省エネ量を評価、天然ガスCGSの排ガスとジャケット温水の蓄熱性能、空調設備での熱利用効率を実証する。

     

     定置型の実証試験は、石原産業四日市工場で、酸化チタン製造工程の乾燥ラインで実施する。乾燥ライン上流のセ氏約100度の廃熱を回収し、蓄熱材に蓄熱。下流の乾燥ラインから放熱し温風を供給することで酸化チタンを乾燥させる放熱運転を行う。温風供給によって、既存の加熱用蒸気の消費量を削減する。

     

     蓄熱材は2つの蓄熱槽で、蓄熱と放熱を切り替える「バッチ運転」をする。通年で実証データを取得し、熱効率や省エネ量を評価、蓄熱材の耐久性を実証する。

     

     セ氏100度程度の低温廃熱は、発生場所での用途が限定されることなどから多くが未利用のまま放出され、有効利用が求められている。また、電気と熱を同時供給するCGSは、熱需要が少なく余剰熱エネルギーが発生する課題があり、有効な熱の活用技術が求められていた。

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    掲載日: 2019年7月26日 | presented by 建設通信新聞

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