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大林組/ロボティクスの技術展示会を初開催/バックホウ自律運転システムなどPR
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>大林組がロボティクス分野の取り組みを加速している。4月1日付で機械部を改編してロボティクス生産本部を新設。生産性向上や省人化に向けた推進体制を強化した。18、19日には埼玉県川越市の東日本ロボティクスセンターで技術展示会を初開催。同社やグループ会社、協力会社の最先端技術を社内で共有するとともに、発注者らにもアピールした。
旧機械部の役割は現場からの要請を踏まえた支援がメインだった。工期やコストが限られている中、現場ではどうしても従来通りのやり方を踏襲する傾向があり、これまでと違ったアプローチが必要と判断。同本部自らが、ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)などを駆使して現場で必要となるロボティクス技術を開発し、現場に活用を呼び掛けるようなやり方を採ることにした。労働人口の減少を踏まえ、生産性を高めて働き方改革を推進していくことが求められており、自社にとどまらず広く利用されるような技術開発を目指す。外販して利益を上げていくことが目標だ。
技術展示会はそうした流れの一環となる。2日間で顧客や同社社員、協力会社などから約2000人が訪れた。同社は35件の技術を展示。グループ会社の大林道路や協力会社も出展した。
出展技術の目玉の一つが、同社とNEC、大裕(大阪府寝屋川市、飯田浩二社長)が共同開発した「バックホウ自律運転システム」だ。汎用(はんよう)の建設機械を自律化して生産性を飛躍的に向上させることを目指しており、その初弾となる。
同システムは、▽汎用型バックホウ▽盛り土の状況などを確認するための3Dスキャナー、ステレオカメラ▽操作レバーにアタッチメントを装着して遠隔操縦する装置「サロゲート」▽データをやりとりする中継装置、通信機-などで構成する。上部から状況を把握する仕組みにしているため、3Dスキャナーなどは高所作業車に据え付けていた。
自律運転モードでは掘削範囲の土を確認しながら、一度に積み込む量が最大になるようなポイントを探して掘削作業を実施。旋回して、待機しているダンプトラックに積み込んでいく。熟練技能者の作業データを分析して、効率的な動作を数値化したという。
電気信号などでバックホウを直接制御するのではなく、操作レバーを物理的に動かす仕組みになっているため、どのメーカーの重機でも利用できる。複雑な作業や重機の移動などは遠隔操作で行う。今後は第5世代通信規格(5G)を活用する予定。複数種類の建設機械を同時に自律化させて、1人の監視者で管理することを想定している。
例えばトンネル現場などでは大量の土砂をベルトコンベヤーで集めて、バックホウが同じ場所で同じ作業を繰り返しながら、ダンプトラックに積み込んでいる。そうした繰り返し作業を自律型建機に置き換えれば省人化につながる。
現時点では熟練オペレーターの作業スピードには及ばないが、安全性が十分に確保できることを確認しながら、作業速度を向上させていくという。現場での運用方法などを含めて検討を重ね、12月から土木工事現場に適用する予定だ。「将来は外販もしたい。あらゆる可能性を想定してターゲットを考えたい」(同社)としている。
最新技術として、建設現場のIoT化の推進に向けた多機能分電盤「ノアキューブ」も紹介。電力線を通信線としても利用する電力線通信(PLC)技術を用いており、電力線を配線すると同時に通信環境を構築できる。火花の自動検知機能を搭載したネットワークカメラや通話機能、消費電力量の監視機能も持たせており、安全性や省エネなど多面的に活用できるという。各種センシングデバイスと組み合わせることで、ノアキューブ周辺の作業環境や技能労働者のバイタルデータを遠隔監視することも可能。今後は、土木現場にも対応可能な動力用ノアキューブの開発なども視野に入れている。
リフトアップで風車を建設できる技術「ウインドリフト」は、超大型クレーンが不要となる点が特徴。巴技研(東京都中央区、兼澤敏之社長)と開発した。陸上でも洋上でも適用可能で、クレーンでは届かなかったような高さの風車でも対応できる。低風速地域で高さが100~120メートルの風車を建設するプロジェクトへの適用も見据えている。
このほか、物体が高速回転すると姿勢が安定するジャイロ効果を活用したゴンドラの揺れを低減する技術「ゴンドラ用スカイジャスター」や、慶応大学と共同開発した油圧駆動建機に力触覚再現技術を適用するシステムなど幅広い取り組みをPRした。
残り50%掲載日: 2019年7月30日 | presented by 日刊建設工業新聞