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  • DIVERSITY働きかた・東急建設働き方改革推進部/全体最適へ業務見直し

    【外勤の負担集中を軽減】

     

     働き方改革は、すべての企業にとって避けられない課題だ。建設業においても、2024年4月の改正労働基準法による時間外労働の罰則付き上限適用開始に向けて、確実な取り組みが求められている。東急建設では18年4月、会社全体の働き方改革推進の中心となる部署として、管理本部の下に「働き方改革推進部」を新設。現場の第一線で働く外勤社員の実態をよく知るメンバーを集め、その働き方の改善に取り組んでいる。

     

     働き方改革推進部には、それぞれ支店の土木部門の部長や総務部長、土木・建築の現場所長を務めてきた、現場の外勤社員の働き方を熟知したメンバーが集められている。岩井健部長は、「外勤社員は内勤社員に比べ、土曜日が休みづらく残業も多いという状況にあり、まず外勤の働き方を中心に改善する必要がある。そのために、実態をよく知るメンバーとして集められた」と説明する。

     

     岩井部長は取り組みの前提として、「まずトップダウンで意思を示してもらうことが組織として大事だ」と強調する。同社には、働き方改革推進部とともに働き方改革を推し進める組織として、寺田光宏社長が委員長を務める「働き方改革推進委員会」を設けている。土木事業本部や建築事業本部、管理本部などから人員を集め、四半期に1度のペースで取り組みの実施状況の確認や問題点の洗い出しなどを行っている。寺田社長(当時は副社長)は委員長として「経営者として健康にいきいきと活躍できる環境を提供する」「そのために必要な改革は本部・支店・事業部主導で進め、発注者への要請など、必要なときは経営陣が率先して行動する」「業務の効率化や就労時間削減への工夫、取り組みを評価する」など6項目のメッセージを発している。

     

     続いて実行したのが行動計画の作成と取り組みの周知だ。各支店の所長会議に赴き、建設業や世の中全体の環境、人手不足の現状を説明して意識改革を促し、加えて土木・建築の各本部の作成したアクションプランの周知に努めた。

     

     当初、現場からは厳しい意見も多かった。岩井部長は「第1四半期に各支店を回ったときには、所長たちからは『こんなのできないよ』と言われることもあった」と振り返るも、「第3四半期に再び各支店を回った際には、やらなければならないという反応に変わってきた」と話す。

     

     岡彰則次長は、「働き方改革に総論で反対する人はいない。いまは各論で『実行できる』と思ってもらう段階なので、具体的なツールや考え方を提供して意識の変化を促している」と強調する。

     

     その具体的なツールや考え方とはどのようなものか。土木部門では、TOC(制約理論、Theory Of Constraints)という考え方を取り入れている。「全体の中の制約を見つけて、制約に集中し滞留をなくし、仕事の流れをよくすることが全体最適につながる」というものだ。TOCには「脳はうフロー」「たすかるボード」といった手法がある。これらは暗黙知を見える化し、業務の効率化を図るもので、見える化した工程をマネジャーが管理し、一つひとつ優先順位を決めて部下がやるべきことを割り振ることで日々の改善を積み重ねている。

     

     建築部門では、受注から竣工・引き渡しまで全体の業務の流れを見直すことで、現場の抱えている負担の分散などに取り組んでいる。岩井部長は「建築でもTOCの考えを学んだところ、最も負担が集まっているのは施工であり、ここを改善すれば生産性を向上させることができるとわかった」として、19年度の上半期は1部署に負担が集中しない仕組み作りのため、各業務の洗い出しを進めている。下半期にはそれを少しずつ現場へ反映させ、20年度から本格的に展開する計画だ。

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    掲載日: 2019年8月2日 | presented by 建設通信新聞

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