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  • 熱中症対策ツールを開発/鹿島、ハレックス/現場ごとに危険度予測/積算気温と熱中症発症数に相関関係情報提供、注意喚起など対応

     鹿島とハレックス(東京都品川区、藤岡浩之社長)は、気象情報を基にした新しい熱中症対策ツールを開発した。午前6時から午後12時までの1時間ごとの気温の合計(積算気温)と熱中症発症数の相関関係から、翌日や当日の危険度を現場別に予測・提示できる。鹿島関東支店管内の全現場に毎日の情報提供を始めた。

     

     近年、猛暑によって建設現場では熱中症対策の重要性が高まっており、熱中症の発症リスクを判断する指標として、WBGT(暑さ指数)を活用することが多い。

     

     WBGTは、25度未満から31度以上までの4段階で危険度が示され、指針(運動に関する指針)上は31度以上で「運動は原則中止」とされている。ただ、2018年夏は、さいたま市内でWBGT31度以上の日が44日あり、工程や技能者の稼働などを考えるとすべての日で現場を止めることは困難で、現場所長は熱中症発症リスクとの間で難しい判断を迫られていた。

     

     両社が、鹿島関東支店のデータと埼玉県の熱中症搬送者数のデータを解析した結果、午前6時から午後12時までの積算気温190度以上での熱中症発症者数が全体の85%を占め、190度を超えると発症者が急増する相関関係を発見した。また、熱帯夜の翌日の熱中症発症者数が、前日が熱帯夜でなかった日に比べて6倍以上になる相関関係も見いだした。解析手法などは特許を取得した。

     

     これを踏まえ、積算気温190度で「過去5年間で2日に1回の発生頻度」、230度で「同5年に1回」といった6段階の熱中症危険度表を作成。ハレックスが保有する1㎞メッシュで気温などの気象情報を解析する技術を使って、緯度・経度を指定して現場ごとの毎時の積算気温を予測できる。

     

     鹿島関東支店では、積算気温に応じ、現場内巡回強化や作業の中止・中断の要否協議といった指導事項表も作成し、毎日2回、毎時の積算気温の実績・予想と熱帯夜情報とあわせてメールで全現場に送信している。現場では、WBGTも勘案しながら、積算気温予想などを踏まえて作業員への注意喚起などを判断する。

     

     埼玉県内の建築現場の所長は「本当に危険な時間を示して、休憩を多く取らせるといった指示ができるようになった」としており、「今後、作業員が積算気温と実際の暑さの度合いの整合性を実感できるようになれば、個人で対応策を意識できるようになるのではないか」と期待を寄せた。

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    掲載日: 2019年8月7日 | presented by 建設通信新聞

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