当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • project・新宮下公園等整備/渋谷区、三井不動産

     東京都渋谷区で「新宮下公園等整備事業」の建設工事が佳境を迎えている。全長約365mと南北に長い3階建て商業施設の屋上に、都市計画公園を整備し、北端には18階建てのホテル棟が完成する計画だ。2020年春の竣工予定に向け、設計施工を担う竹中工務店の梶原龍次作業所長は、工事の進捗率は「65%」と話す。渋谷区と三井不動産がPPP事業として進める大規模事業の今を紹介する。

     

    【綿密に計画、完成度と安全性向上/都市計画公園や直結ホテル整備/IT駆使、省人化を実現】

     

     建設地は、渋谷駅の北側に位置する渋谷1-26と神宮前6-20の敷地約1ha。南・北街区の間に区道が通っている。敷地南から▽南街区▽両街区をつなぐ区道上空の「美竹ブリッジ」▽北街区▽ホテル棟--の4つの建物を同時に施工する難工事だ。

     

     竹中工務店の吉田良祐工事長は「街中で、これほど敷地面積が広く、接道も長く、一方で作業スペースに余裕がない現場というのは他に類をみない。いろいろな工法を織り交ぜて最適化していることが当現場の誇るべき点だ」と説明する。

     

    ◆工法織り交ぜ現場条件に対応

     

     まず、美竹ブリッジは、高所作業をできる限り減らすため、橋梁の躯体から仕上げまであらかじめ地上で組み上げ、最大重量60tのユニットを夜半1時から4時半のJR線が停まっている間に吊り上げ、一体的に施工した。真下の区道を長時間通行止めにしたり、高所作業を何度も繰り返したりすることなく、「通常のやり方なら鉄骨を建てることから始まり、数カ月はかかる工事だが、今回は8日間で完了した」(吉田工事長)と言う。「工事が始まる前から今回のフルユニット工法が最適であると考え、設計者と一体となり取り組んだ。超大型クレーンとフルユニット8機を組み上げるための敷地条件を考慮し、南街区・北街区が基礎工事完了の段階で、美竹ブリッジだけは先行して完成させた」と話すとおり、綿密な計画が工事の完成度や安全性を高めている。

     

     さらに、工事現場が線路や下水道幹線と近接していることも大きな課題の1つだ。西側地上部分はJR埼京線が通り、東側の明治通りの地下には東京メトロ副都心線が通っている。さらに建物直下3.2mには、直径1.2mの下水道埋設管がある。

     

     地下工事については、南街区はJR埼京線への影響を抑えるべく、近接部の地山を残し、ワンテンポ遅らせて掘削するアイランド工法を採用した。先行して構築した躯体から切梁を設置し、後で掘削する範囲の山留変形を抑える工法だ。

     

     一方、北街区は「JR埼京線からは9.7mしか離れていないという厳しい状況」(吉田工事長)に加え、西側地下には東京メトロ副都心線が通っていることから、先行して1階の床を構築したあとで、地下を掘り進める逆打ち工法を採用した。

     

     地上部分については、南街区は約200m、北街区は150mと南北に長い上、狭あい敷地という課題の多い環境で、敷地奥(南側)から順番に、本体鉄骨に併せて上部に載せるキャノピー(アーチ)を組み立てていく完全屏風建て工法を採用した。キャノピーは最大直径約38mと巨大なため、地上1階部分で寝かせた状態で組み立て、吊り上げ時の挙動を施工時に解析し、一体施工するノーベント工法を採用した。これにより、仮受構台を設置せず、狭あい敷地でも効率的にキャノピーを架設することができた。

     

     現場では、IT化による省人化も実施している。例えば、現場と現場事務所の距離が離れていることから、現場にウェブカメラを設置し、状況をリアルタイムに確認している。また、安全の注意事項などを口頭や紙で指摘すると時間がかかることから、業務用連絡アプリ「direct」を使い、同時に複数人に対し、即座に写真や指示を送ることができる。20年春の竣工目標に向け、現場関係者が安全かつ効率的に作業できるよう、さまざまな工夫を取り入れている。

     

    ◆“誠実に優る知恵無し”

     

     「再開発ラッシュを迎える渋谷で、われわれがその一角を担っていることは大変光栄だ。当社で大切にしている“誠実に優る知恵無し”の考えを胸に、1日1日無災害で作業を積み重ねる」

     

    ◆工期守り無事故で完遂

     

     「大変難易度の高い工事を無事故で、工期も確実に守り完遂することがわれわれの使命だ。(現場の)組織が大きく、職人も多いが、いかにまとめていくかを日々意識している」

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2019年8月20日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事