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  • 高速道880㌔4車線化/事業費は概算4.4兆円/料金徴収期間延長に言及

     国土交通省が4日に打ち出した有料の高速道路約880㎞の4車線化には、概算で4兆4000億円の事業費が必要と見込まれる。国交省は、料金徴収期間延長や料金の引き上げなどを含め、あらゆる手段を講じて財源を確保する考えだ。なかでも金利が低い状況の継続が命綱となる。4車線化の完了は2030年代前半になる見通しだ。

     

     高速道路の供用延長は有料区間9543㎞、無料区間2386㎞の計1万1929㎞で、有料区間では26.5%に当たる2533㎞が暫定2車線となっている。このうち、IC周辺など4車線化済みの一部区間を除いた対面通行区間約1600㎞を対象に、4車線化を進める優先整備区間を選んだ。

     

     選定に当たっては、▽時間信頼性の確保▽事故防止▽ネットワークの代替性確保--の3つの観点から、渋滞回数や死傷事故件数など8つの指標を設け、A-Dの4段階で個所別に評価。8つの指標のうち1つでもA評価があれば、課題が大きい個所として、優先整備区間に分類した。その結果は、北海道から九州までの全国で122カ所、約880㎞に上る。

     

     国交省道路局高速道路課によると、4車線化の事業費は1㎞当たり50億円程度。約880㎞の実施には、概算で4兆4000億円が必要になる計算だ。

     

     ただ、その財源は明確になっていない。優先整備区間とともに4日公表した「高速道路における安全・安心基本計画」の案には、「コスト縮減などの経営努力や現下の低金利状況などを活用するほか、料金徴収期間の延長や料金の引き上げによる利用者負担など新たな財源確保策を講じる必要がある」と記した。

     

     優先整備区間の4車線化は、低金利状況の継続がかぎを握る。高速道路は、完成した道路(資産)と建設に伴う借金(債務)を高速道路会社から日本高速道路保有・債務返済機構が引き受けている。機構は 債務の返済に当たって金融機関などから 資金を調達しており、借り換え時の金利を4%で計画しているが、実際の金利は1%以下と非常に低い水準。減った利払いの分だけ債務を多く引き受けることができ、それによって高速道路会社はさらに借金をして投資するという構図だ。

     

     18、19年度予算では4車線化の推進に向け、長期的に低金利を固定できる財政投融資も活用した。2年間で総額2兆5000億円を機構の借り換えに充てたことで、1兆7000億円の投資余力が生まれた。4兆4000億円の確保は非現実的ではない。

     

     国交省は、低金利が続くと仮定し、高速道路会社の事業執行能力も勘案した上で、約880㎞の4車線化は10-15年で完了できると見込んだ。ただ、金利は景気に左右されるため、金利が上がれば目標より遅れる可能性がある。

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    掲載日: 2019年9月6日 | presented by 建設通信新聞

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