当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • 中小契約目標55.1%/4兆3369億円/官公需法 19年度契約の基本方針/発注機関、区分別の目標設定せず

     政府は、官公需法に基づく2019年度の国などの契約の基本方針を固めた。国や独立行政法人などが中小企業・小規模事業者に発注する契約目標率は、4年続けて同じ55.1%とする。7兆8710億円の19年度官公需総予算額に占める中小企業・小規模事業者向け契約目標額は、4兆3369億円となり、2年連続して4兆円を上回る。今回から基本方針では、発注機関ごとや物件、工事、役務の区分別の契約目標を設定しないことになった。各省庁や独立行政法法人など発注機関ごとの契約目標は、各機関が基本方針に即して定める「契約方針」で設定し、公表する。契約の基本方針は10日に閣議決定する予定。

     

     政府は近年、基本方針で契約目標を設定するのに当たり、1966年の官公需法制定以降、目標を上回った実績がないことなどを踏まえ、前年度目標を超える目標を掲げることよりも、実績額、実績契約率が前年度実績を上回ることを重視するようになっていた。

     

     また、各発注機関からは、契約の方式や形態などが多様化していることを背景に、物件、工事、役務を明確に区分して目標を定めることが困難との指摘が相次いでいた。建物の清掃や警備、設備の維持保全、小規模改修といった工事などは別契約だったものの、建物メンテナンス業務として小規模な工事も含んで包括的に契約するようになったほか、役務である調査や設計と工事を一体的に契約することなどが具体例になる。

     

     こうした状況から政府は、発注機関ごとに区分別の契約目標を設けて全体の契約目標を定めるのではなく、目安となる各機関の官公需予算規模を把握した上で、国全体として前年度実績を着実に上回ることを目指した契約目標の設定方法に変えることにした。政府として、官公需に占める中小企業の契約率実績を一層重要視することを鮮明にしたといえる。

     

     このため、19年度の基本方針には「契約金額の 比率が前年度までの実績を上回るように努め、国等全体として55.1%、金額が 約4兆3369億円になるよう目指す」と明記する方針。

     

     18年度の契約実績は、官公需総額7兆8181億円に対し、中小企業の契約額は4兆0027億円で、13年度以来、5年ぶりに契約額が4兆円を超える見込み。契約率は前年度から0.2ポイント上昇の51.2%になった模様だ。

     

     18年度の実績は、発注機関ごと、物件、工事、役務の区分ごとに公表する。この実績の公表はこれまでと変わらず、今後も続ける。工事の実績は実績額3兆2803億円のうち、中小企業の契約額が1兆9773億円、契約率60.3%になったとみられる。

     

     また、創業10年未満の新規中小企業の18年度契約実績は、全体で契約率が0.95%、契約額では745億円にとどまったという。このため、新規中小企業の19年度契約目標は、契約比率が前年度までの実績を上回るように努め、15―18年度の新規中小企業契約率実績の平均1.32%を踏まえて、「国等全体としておおむね3%を目指す」ことを契約目標とする方針。

     

    ◆中小受注拡大へ発注時期平準化、自治体と連携し強化

     

     中小企業の受注機会拡大措置では、「働き方改革」に対応する取り組みを強化する。新たに、7月に開いた「都道府県調達推進協議会」で、官公需の発注時期など平準化に必要な取り組みの実施を自治体に要請したことを明記するとともに、今後開催する「官公需確保対策地方推進協議会」でも、平準化に必要な取り組みを説明し、発注に当たっての留意点を国と自治体が共有することを示す。また、「地域発注者協議会」で進めている、調査を含む公共工事の施工時期など平準化への取り組みも新たに盛り込む。

     

     中小建設企業に対する配慮では、新たに、発注関係事務の運用指針と公共工事入札契約適正化指針に定める、必要な工期・履行期間の確保と地域の公共工事施工時期平準化の方策を活用して、中小建設企業の受注機会増大に努めると記載する。

     

     また、事業継続力がある中小企業への配慮を明記する。具体的には、中小企業等経営強化法に基づく事業継続力強化計画か連係事業継続力強化計画の認定を受けた中小企業を積極的に活用し、該当企業の受注機会増大に努めることを示す。

     

     10月に消費税率が10%となることを踏まえ、引き上げ前後いずれの状況でも適正な転嫁を確保することも記述する。

     

     各発注機関は、基本方針の閣議決定後、発注機関ごとに基本方針に即して「契約方針」を速やかに定め、公表する。

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2019年9月10日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事